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将棋実況でも有名な折田翔吾アマ(アゲアゲ)さんが
プロ編入試験に挑んでいます。
令和2年(2020年)2月25日、本田奎五段とのプロ編入試験第4局を制して、折田翔吾・新四段の誕生が決まりました!
アゲアゲさん、おめでとうございます!!
この記事では、編入試験の背景や一体どのようなものなのか、
について情報をまとめています。
また、試験結果も随時更新していました。
目次(もくじ)
まずは、折田アマが挑戦している、「アマチュアから将棋棋士を目指す」
というのがどういうことなのかについて説明します。
将棋界のプロデビューの年齢は、原則的には
中学生から20代後半までです。
奨励会という機関に入会して目指します。
折田アマも元奨励会員で、プロデビュー(四段昇段)の
一歩手前である三段リーグまで行きましたが、年齢制限により退会となり、
アマチュアとして将棋大会で活躍していました。
将棋の世界では、アマチュアとして活躍することで、
プロへの道が開かれることがあります。
そういう制度があるからです。
【参考記事】アマチュアから将棋のプロ棋士を目指す制度・編入試験とは【2つある】
この制度のおかげで、例えば折田アマのように、
プロを一度は目指し、奨励会に入ったものの
年齢制限により道が閉ざされた人が再びプロを目指すことができます。
もちろん、この制度は、元奨励会員でないアマチュアも利用可能です。
また、女流棋士も、「女性棋士」を目指すことができます。
アマチュアからプロの棋士になった人は、
これまでに3人います。
そのうちの2名は、瀬川晶司六段と今泉健司四段で、
2名とも藤井聡太七段と対局したこともありますし、
なんと折田アマとも対局しています。
編入試験受験は条件が厳しく、簡単には満たされません。
どのような条件で、折田さんがどう満たしたのか、みてみましょう。
編入試験を受けるためには、プロ公式戦で好成績を挙げる必要があります。
「アマなのにプロ公式戦ってどういうこと?」と思った方のために説明します。
アマチュアの大会で優勝など上位の成績をとると、
プロの棋戦に出場することができるのです。
プロ公式戦にでる切符を掴んだ折田アマは、活躍しました。
そして、編入試験の条件である、「いいところどりで10勝以上かつ勝率6割5分以上」という、
プロ相手に出すのは至難のわざとも思える条件を見事にクリア。
それもなんと、10勝2敗という圧倒的な成績でした。
参考記事(外部サイト) あきれるほど将棋の強いYouTuberのアゲアゲさんがプロ編入試験を受けるまで
折田さんは「銀河戦」という棋戦で連勝しまくったのです。
プロ相手にアマチュアがすごい快進撃をみせている、と話題になりました。
また、藤井聡太七段とも当たる可能性があるのでは、
と注目もされていたのですが、残念ながら実現せずでした。
【関連記事】 第27期銀河戦で藤井聡太七段決勝トーナメントへ!アマと対戦あるか?
アマチュアがプロになるための関門は、実は将棋の勝敗だけではありません。
なんと、受験料が必要です。それがなんと、
受験料
50万円(税別)
プロ編入試験についてのお知らせ
中々の金額ですね・・・!
三段リーグの年齢制限まで奨励会にいた人は、
通常の仕事に就かないケースもあります。
折田さんは、YouTubeの他に、将棋教室もしておられるようですし、
アマチュア大会やプロ公式戦の賞金・対局料などももらっていると思います。
しかし、編入試験受験となると、将棋の勉強に集中しなければなりませんし、
色々と資金が必要になると考えられます。
今泉四段が編入試験を受けた際にも寄附が集まったようです。
折田さんは、クラウドファンディングによって、
プロを目指すプロジェクトに対する支援金を募り、見事に集まりました。
なお、折田さんのクラウドファンディングサイトでの説明によると、
受験料は54万円のようですね。
【関連記事】折田アマきっかけでクラウドファンディングに興味もった将棋ファンのために
編入試験でプロになった先例である瀬川六段の場合は、
奨励会退会後、大学に入り、卒業後に就職し、
NECという有名な企業に就職しました。
それでも、通常のキャリアに比べて就職が遅かった分、
経済的に大変だったのではと思います。
(瀬川さん・今泉さんの編入試験の受験料がいくらだったかは、調べきれていませんが、
やはり折田さんと同じくらい払ったのだろうと思っています。)
プロ編入試験とは、具体的には
どういうものであるかというと、試験官との対局です。
試験官は若手棋士がつとめます。
試験官をつとめるのは、最近デビューした棋士5名です。
「新四段5名を棋士番号順に選出」とのことで、
2018年10月、2019年4月に四段昇段した棋士それぞれ2名と、
2018年4月に四段昇段した棋士が1名の、計5名がつとめます。
一番最近デビューした棋士は、2019年10月昇段した棋士なのですが、
彼らは今回の試験官には選ばれなかったようですね。
試験官と対局日程は下記の通りです。
(なお、結局、第4局で折田さん側からみて3勝1敗で勝利となったため、第5局の池永四段戦は行われず。)
開始時間は午前10時です。
新四段ながらすでにかなり活躍している棋士たちばかりですね。【追記】本田奎五段は、タイトル戦挑戦により四段から五段に昇段しました。
プロ編入試験が若手四段との対局だと説明しました。
では、どうなったら勝ちなのか、勝利条件を確認しましょう。
新四段たちとの対局を、「5番勝負」とみて、
番勝負で勝てば合格、となります。
これはどういうことかというと、
先に3勝した側が勝ち、ということです。
折田さんとしては、合格のためには、
負けは2回までしか許されません。
ちなみに持ち時間は3時間です。
これは、例えば新人王戦と同じですね。
折田アマが活躍した銀河戦は、持ち時間の短い早指し棋戦でした。
3時間という持ち時間が、どう影響してくるのか、という点も興味深いですね。
また、持ち時間が同じでも、「ストップウォッチ方式」と「チェスクロック方式」の
どちらであるかによって、若干かわってきたりしますね。
多分ですが、編入試験は、チェスクロック方式の方なのではないかと思います。
ストップウォッチ方式は順位戦とかの場合、上の方のクラスでのみ使われますから。
ここでは、折田アマのプロ編入試験の対局について、
【随時更新】していきます。
第一局は予め手番が決まっていなくて、
振駒の結果、折田アマが後手番となりました。
戦型は、先手の黒田四段が四間飛車を採用。
後手の折田アマは、トーチカ囲いのような、
エルモ囲いのような玉型から攻めていきました。
終始リードしており、
午後5時16分、98手で折田アマの勝利。
会心の一局でした。
どのような将棋になるでしょうか?
両者ともに相掛かり戦法を得意としているそうなので、
そうなる可能性が高そうですが・・・?
12月23日(月)に行われた、編入試験第二局。
戦型は相掛かりになりました。
結果は、後手番の出口四段の勝利。
相掛かりの力戦調で、序盤・中盤の手のつくり方が難しそうな将棋でしたが、
出口四段の攻めを呼び込んでしまい、玉型の差もあって大差になってしまった印象です。
この対局の結果により、折田さんのプロ編入試験5番勝負の成績は1勝1敗となりました。
残る試験官の一人に、本田奎四段がいます。
第四局の相手なのですが、棋王戦というタイトル戦の挑戦者になるまで、
後1勝となっているほどの棋士です。
そのため、次の第三局で山本四段に負けてしまうとかなり厳しいだろうといわれています。
【関連記事】 本田奎四段と佐々木大地五段の棋王戦挑戦者決定戦第二局の日程は?
2020年1月27日(月)に行われたプロ編入試験第三局。
結果は、折田翔吾アマの勝ちでした。
アマチュアに人気の「振り飛車戦法」の中でも「三間飛車」を愛する
先手の山本四段が初手78飛で三間飛車にし、後手のアゲアゲさん(折田アマ)は「居飛車」の持久戦の作戦の一つである左美濃に構えました。
先手は「石田流」のように7筋の歩を5筋まで伸ばす格好をとりました。
後手の「64銀」の「歩越し銀」に歩で対抗した先手。
ちょっと珍しい(?)79の地点に飛車を引いたり、77桂で銀を捕まえる筋をみせるなど、面白い戦いになりました。
後手陣からは角と飛車がみらみをきかせていて、先手が徐々に苦しい展開になっていった模様。
途中、難しい場面もあったようですが、終盤戦の入り口くらい(?)では後手がかなり優勢でした。
先手・山本四段もさすがで、簡単には決め手を与えませんでしたが、
じっくりと指してリードを保つ後手・折田アマの堅実な指し回しが、逆転を許しません。
お互いに自陣に駒を打ちつけるなど、粘り強い指し方でしたが、後手が角を切って「2枚替え」したあたりから、
先手陣が薄くなって苦しくなった感じでしょうか?
後手が自陣の一番下(61地点)に打っていた香車が最後には敵陣に成ったあたりで、すぐに詰む場面ではありませんでしたが、
先手に見込みなしという状態になってしまったので、山本四段の投了となりました。
終始後手優勢だった終盤でしたが、先手の粘りや端から嫌みをつける手などにより、
観ている側からすれば緊張感ある白熱した対局だったと感じます。
色々と興味深い手があったと思いますが、終盤最後の方の、後手「72金」という手が個人的には印象に残りました。
【おすすめ記事】 本田奎四段と佐々木大地五段の棋王戦挑戦者決定戦第二局の日程は?
四段にして棋王のタイトルへのスピード挑戦を決め、五段に昇段した本田奎五段ですから、
第四局は厳しいのでは、という見方を大多数の人がしていたことと思います。
しかし、対局が始まってみれば、折田翔吾さんの将棋はとても堂々としたもので、
AbemaTVの中継で表示されているAIの評価値(形勢判断)も、先手番だからかもしれませんが、
わずかながら折田さん側に触れていたようでした。
これならばいけるかも、という気持ちでみていました。
詳しい内容については把握できていないのですが、
まず、序盤は、おそらくは「相懸かり」の戦形のようでしたね。
定跡形というよりは、力戦形で、一手一手考えて指す手将棋という感じだったでしょうか。
相懸かりは、折田さんの得意戦法として知られていますし、本田五段の方も、
棋王戦の挑戦者決定戦で採用するなどしていますので、お互いの十八番での勝負だったのだと思います。
終盤の入り口くらいでは、先手陣もかなり攻め込まれているような場面がありましたから、
簡単な将棋ではなかったのではないでしょうか?
相手が相手だけに、そこを勝ちきれる折田さんはすごいと思います。
もっとも、局後の感想戦を少し観た感じだと、本田五段がぼやきぎみでしたので、
何かかなりの誤算があったものと思われます。
ともかく、堂々たる勝利であったことは間違いないでしょうね(^^)。
さて私たち将棋ファンとしては、アゲアゲさんの合格に気分が高揚しますが、
当の本人は、ここからが勝負ということで気合いを入れ直していることでしょう。
というのは、編入試験によるプロ入りというのは、通常の棋士デビューよりも厳しい条件があるのです。
気になった方は、編入試験開始前に書いておいた以下の文章をお読みください。
無事に試験を突破し、合格できたとしても、
折田翔吾氏には、次なる試練が待ち構えています。
というのは、プロ編入試験の合格者は、
「フリークラス」というクラスに配属されてしまうからなのです。
フリークラスって恐ろしいクラスで、棋戦でいい成績を挙げて
脱出しないと、なんと、引退させられてしまうのです。
【関連記事】 フリークラス棋士になる経緯は3通り?順位戦参入や引退の規定は?
フリークラスを抜ける条件は色々ありますが、
たとえば、いいところどりで30戦以上の勝率が6割5分以上、
というものです。
折田さんは、編入試験の条件のところでも述べたように、
いいところどりだと10勝2敗で、勝率8割以上です。
ですが、プロの場合勝ち進めば進むほど手強い棋士と当たるようになりますし、
対局数が増えればどうしても勝率は下がるものです。
なので、試験に合格したとしても、引退のプレッシャーと戦う日々が待っているのですね。
ですが、瀬川六段も今泉四段もフリークラスを抜けているという事実があるので、
折田氏が合格したら、プロとして長く戦い続けて行くことになるだろうと思っています。
将棋のアマチュア強豪・折田翔吾さんが、
将棋のプロを目指して試験に臨み ます 、
棋士デビューを果たしました。
【折田四段の新人王戦出場についての記事】 => 折田翔吾四段が新人王戦登場!年齢制限を超えても出場資格ある理由はなぜ?
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かつてない盛り上がりをみせている近年の将棋界ですが、
また新たなる伝説が始まろうとしているのかもしれません。