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加藤一二三九段の気迫やすごさについてです。
最高年齢対局、さらに最高年齢勝利、公式戦通算2500局対局達成という大記録を樹立した、
加藤一二三九段は、将棋界の伝説といってよい存在です。
加藤九段は現役時代、上記の他にもう一つ、偉大な記録を達成しました。
それは、実力制に移行してから名人になった棋士全員と対局したことです。
この記録は、棋聖戦2次予選における、佐藤天彦名人との対戦で実現されました。
ちなみに、加藤九段の引退後、新たに豊島将之名人が実力制名人獲得経験者に加わりました。
加藤一二三vs豊島将之という対戦カードが実現したことがあったかどうかは、現在調査中です。
この加藤九段-佐藤名人(当時)の将棋はAbemaTVで放送されました。
今回はその、上記の加藤-佐藤戦のAbemaTVでの放送における、
村山慈明七段・室谷由紀女流二段(後の谷口由紀女流二段)の解説・聞き手で紹介されたものを中心に、
将棋の対局のときの加藤九段の伝説やすごさについてまとめてみました。
加藤九段の食事に関する伝説エピソードはこちら => 【加藤一二三伝説】みかんのおつかいを頼まれた村山慈明七段の解説から
なお、以下の内容は、私自身の見解や記憶及び調査の結果ももとにしておりますので、万一、間違い等がありましたら、すべて私の責任です。
目次(もくじ)
ここでは将棋編と題して、将棋の戦法や勝負師としてのスタイルに関するところを書きます^^
加藤一二三先生と言えば、棒銀戦法へのこだわりが有名ですね。
四間飛車戦法に対して、急戦戦法である棒銀で立ち向かっていく加藤先生の勇猛果敢な将棋スタイルは、
前に紹介した将棋世界2017年4月号の棒銀特集で是非お読みください^^
【関連記事】 => 加藤一二三九段の棒銀や最高年齢勝利が掲載【将棋世界2017年4月】
でも、対・四間飛車棒銀以外の戦法においても加藤先生にはこだわりがあるのです。
加藤-佐藤(天)戦は、名人が先手番、後手番が加藤九段でした。
戦型は「横歩取り」でした。
あくまでアマチュア目線での見解を述べますと、
横歩取りは一度技が決まってしまえばあっというまに終わってしまう怖い戦型です。
「空中戦」という、お互いの飛車が中段に浮いた状態で戦うためです。
難解な激しい戦型であり、かなりの神経を使うと思います。
この対局時点で77歳というご高齢でありながら、
加藤九段はそういう激しい将棋を指しこなしておられるわけです。
横歩取りは、後手番が飛車を8五の地点に引く、
「8五飛戦法」、またの名を「中座飛車戦法」が主流ですが、
加藤先生は、飛車を8五ではなく8四に引く戦法を愛用しておられるそうです。
きっと、ここにも棒銀の場合と同じような信念があるのでしょうね。
放送ではその解説はあまりなかったようですが、
また機会があれば、「横歩取り8四飛戦法」についての加藤先生の理論を知りたいものです。
ちなみに8四飛と引くのは、「中座飛車」以前は主流でした。
私にとっては昔過ぎて分からないのですが、
そのときの後手の囲いは、5二玉型、いわゆる「中住い」が普通だったはずです。
それに対して加藤九段は、4二玉型、いわゆる「中原囲い」を愛用しています。
まとめると、加藤先生は、横歩取り後手8四飛、4二玉型を愛用。
覚えておいて損はないでしょう^^
なお、佐藤名人との対局では、後手番である加藤九段の方から積極的に仕掛けていきました。
加藤九段は、序盤や中盤でも惜しまずに時間を使います。
棋士は通常、終盤のために持ち時間をとっておきますが、
加藤九段にはそういう打算はないようです。
村山七段によると、「一分将棋の神様」の異名をもつ加藤先生は、
終盤に一分将棋になったとしても、ミスをしにくいのだそうです。
終盤に持ち時間がなくても、正しく指せる自信があるからこそ、
勝負の前半で時間をじっくりと使えるというわけですね。
なお、最近の若手棋士は、序盤や中盤の指し手で後悔したくないので、
終盤に一分将棋になってしまうとしても、序中盤に時間を使う傾向にあるのだそうです。
これは、AbemaTVで放送された藤井四段-斎藤六段戦で、解説者の鈴木大介先生が言っていました。
強くて層が厚いとされている最近の若手棋士たちと同じ考え方をもっているあたり、
加藤先生には、時代の最先端を先取りする先見の明があるのかも知れませんね。
以下には、「盤外編」という感じで、将棋の内容や技術以外の、
加藤一二三九段の対局中の伝説をまとめました。
ただし、食事に関する伝説は、別記事(冒頭のリンク先)にあります。
テレビ棋戦などで、解説者としての加藤先生を見たことがある方も多いと思います。
早口ながら大変丁寧に解説をされる姿が好印象な加藤九段。
対局になると、別人のような迫力があります。
真剣な表情で対局する加藤九段。
駒音高く盤面に打ちつける手つきには、強い気迫が感じられます。
プロの棋士が真剣に対局するのは当然なのですが、
加藤先生の気迫は、こわさを感じるほどです。
「目の前の全ての一局に全身全霊」で臨んできたとご自身のツイッター上などでコメントされているそうですが、
正にその通りの気合いを感じる対局姿です。
先ほど、加藤先生は一分将棋(秒読みの将棋)が得意で、
「一分将棋の神様」と呼ばれていると書きました。
実は、加藤先生は一分将棋の中でも、
お手洗いに席を立つことがあるのだそうです。
普通、建物においてお手洗いは、隅の方にあることが多いのですが、
将棋会館の場合は真ん中にお手洗いがあるそうです。
確かに、将棋道場のある2階も、そうなっていますね。
その構造のおかげで、どの対局室からでも、
すぐにお手洗いにたどりつけるわけですね。
最初の一分で対局室の扉を開け、
次の一分でお手洗いを済ますという方法でいくのだそうです。
正に神業といってよいでしょう。それにしても、棋士というのは過酷な仕事ですね^^
こうして色々な伝説をみていくと、加藤一二三伝説は、
加藤先生の将棋に対する情熱が形になったものとみることができると思えてきます。
偉大な記録と、記憶に残る伝説的エピソードは、
一枚のコインの裏表、切っても切りはなせない関係にあるのだと感じました。
今回は伝説の棋士・加藤一二三九段の凄さを書いてみました。
今回とりあげた加藤伝説は主に、AbemaTVでの村山慈明七段の解説に出てきたものです。
加藤先生の伝説や記録を、是非これからも、チェックして行きましょう。
今後新たにスポットライトが当たるようになるものもあるかもしれませんし。
藤井聡太七段のおかげで、大棋士たちの過去の記録がまた注目されたりもしていますからね!
なお、今回は加藤九段のことのみを書きましたが、
村山七段と室谷女流二段のお話には、佐藤天彦名人の話も出てきました。
機会があれば是非、佐藤名人のこともこのブログに書いてみたいです^^
なお、今回の記事は、2017年4月1日に書いた記事「加藤一二三九段伝説 名人との対局時の村山七段の解説より」を再編集したものです。
元記事の内容は分割し、本記事と「【加藤一二三伝説】みかんのおつかいを頼まれた村山慈明七段の解説から」に分けました。