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藤井聡太七段がヒューリック杯棋聖戦5番勝負で3勝1敗で勝利し、
初タイトル・棋聖を獲得しましたね!
ついにこの日がやってきたか、という感想が多いかと思いますが、
かくいう私自身、藤井聡太・現棋聖が棋士デビューした直後のころなどの盛り上がりを思い出しつつ、
この将棋史に残る出来事についてじっくりと消化していきたいと考えています。
さて、早い段階から天才・藤井聡太に注目して高く評価していた棋士に、加藤一二三九段がいます。
藤井聡太棋聖による色々な最年少記録などの更新が話題になるたびに、
加藤一二三先生のの偉大さが明らかにされていったという話もありましたね。
ここでは、藤井聡太初戴冠の背景に、加藤九段のお気に入りのある戦法があったということについて、
お話したいと思います。
藤井聡太挑戦者がタイトル初挑戦に成功し初戴冠した第91期棋聖戦5番勝負。
まずは、その各局の戦型について確認してみましょう。
【参照情報】 タイトル挑む藤井聡太七段、戦型はやや意外な「純文学」
なお、勝敗は、第三局のみ、藤井聡太挑戦者の負けでした。
角換わりというのは、お互いが居飛車戦法(相居飛車)のときに、序盤の早い段階で角交換をする定跡のことです。
藤井聡太七段といえば角換わり、という印象がとても強いくらい、得意としている戦型ですが、
初タイトルをとった棋聖戦では、一局しか登場していませんね。
矢倉戦法というのは、相居飛車で「矢倉囲い」に組む戦法です。
加藤一二三九段の得意な戦法の一つが、この矢倉です。
昔はトップ棋士たちのタイトル戦といえば矢倉になることがほとんどだったようでしたが、
一時期は廃れつつあり、角換わりや雁木(がんぎ)にとって変わられつつありました。
しかし、研究が見なおされることで矢倉はまた復活してきたようですね。
加藤一二三九段は、2017年に幕張メッセで開催のニコニコ超会議で、
羽生善治三冠(当時)と、将棋が強いことでも知られるタレントのつるの剛士さんと3人で対談(鼎談)しています。
当時、デビュー後の連勝記録を伸ばしたり、Abema TV「藤井聡太 炎の七番勝負」で注目を集めていた、
藤井聡太四段のことも話題になりました。
視聴者からの質問コーナーで、藤井四段(当時)に関する質問もでてきました。
その際、藤井四段がタイトルをとるには、どのような戦法が必要ですか、というような質問に対しての、
加藤一二三九段の回答が、「矢倉」だったのです。
タイトル戴冠までいくためには、角換わりだけでなく、矢倉も得意戦法にしておくといい、と。
当時は「矢倉は終わった」とさえいわれていて、急戦左美濃などで矢倉の堅陣が攻略されてしまう実戦例もあったはずだと思いますが。
そういう状況に惑わされずに、矢倉戦法の将棋における重要性にかわりはないことを見抜いていたのでしょうか。
藤井聡太棋聖も、加藤一二三九段との公式戦の対局の際には「矢倉で教わろうと思った」というコメントがあるように、
矢倉を採用しましたし、その後もしばしば矢倉を指しています。
本当のところ、渡辺明vs藤井聡太の棋聖戦において3局が矢倉の将棋となった理由はわかりませんし、
たまたまなのかもしれません。
また、矢倉がメインでなくても番勝負に勝てたかもしれませんし、矢倉を勉強したことが藤井将棋を進化させたのかどうかも、判断できません。
それでも、矢倉の将棋に勝ってタイトルをとることを予言していたかのような加藤九段の言葉には、どうしてもすごみを感じてしまいます・・・!
こちらもおすすめ記事です => 加藤一二三九段の戦法へのこだわりや気迫、「一分将棋の神様」の神業とは
加藤一二三九段は藤井聡太棋聖のプロ棋士デビュー戦の相手でしたが、
それ以来、藤井棋聖に注目し、大きな期待を寄せてきました。
初期のころからタイトルをとる活躍を予想していたようなのですが、
タイトル戴冠のために矢倉戦法を使うことまで、予期できていたのでしょうか?
「神武以来の天才」加藤一二三九段には、まさに神がかりなところがありますね。