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2018年2月22日の夜9時から放送のドラマ「天才を育てた女房は、日本が世界に誇る伝説の数学者・岡潔先生のドラマです。
番組ホームページをみると、なんと伝説の棋士である、阪田三吉先生も登場するのだそうです。
そこで今回は、阪田三吉先生が、劇中でどのような役割を演じるのか、予想(?)してみます。
目次(もくじ)
阪田三吉とは、どのような棋士であるか、簡単に振り返ってみましょう。
阪田三吉は、大阪の堺市で生まれた棋士です。
明治から昭和初期にかけて活躍し、関根金次郎十三世名人のライバルでした。
阪田三吉は、「王将」という歌のモデルにもなった人物で、「王将」をきっかけに知った人も多いかもしれませんね^^
また、「月下の棋士」の御神三吉のモデルでもあることは、その名前から間違いないでしょう。
この御神先生は、ちょっと恐いイメージがあります(笑)。
でも、これはあくまでもフィクションです。実在の人物と混同してはいけません。
以前にご紹介した青野先生の著書でも、阪田三吉先生のことは書かれていました。
それによると、阪田先生は情や義理を重んじる優しい人物だったようです。
また、関西の後援会をバックグランドに持つ坂田先生と、東京の将棋界とは一時確執があったそうです。
それでもそれを乗り越えて、後にA級順位戦に参戦して活躍したとのことです。
素晴らしい人格や将棋愛の持ち主であったのでしょうね。
このブログは時々、「数学セミナー」について触れたりしています。
ですので、数学と将棋の両方に興味がある読者の方も一定数おられると思います。
また、「観る将棋ファン」の読者の方も多いと思います。
「観る将」のすごいところは、将棋の技術的なな細部は必ずしもわからずとも、本物を見抜く眼をもっている点にあります。
その心眼(?)を活かして、数学や数学者のファンにもなってくれたら嬉しいです。
岡先生の専門は、多変数複素関数論です。多変数複素解析学ともいいます。
一変数の複素関数を扱う分野を、「関数論」といいます。理工系の方は教わったことがあると思います。
多変数複素関数論は、文字通り、複素数の変数が2つ以上ある場合の関数の理論です。
変数の数が増えたことにより次元が増えたというだけでない、本質的な難しさが生じます。
岡先生の理論を理解しようと努力したヨーロッパの数学者は、後に現代数学の重要な要素となる「層」という概念にたどりつき、岡先生の理論と等価な理論をつくりあげたそうです。
つまり岡先生は、現代の数学の基礎がつくられるきっかけとなった数学界の巨人と言えます、
岡先生は数学において、計算や論理よりも、「情緒」を重んじるようです。
命を燃やすようにして数学を創り上げる、それが数学者・岡潔です。
そんな岡先生はどの時代も、若い学生たちからも熱烈な支持を受けています。
今回のドラマの監修をつとめた岡潔研究者・高瀬正仁先生もその一人です。
また、「数学演奏会」などの活動で知られる森田真生さんも岡先生の熱心なファンです。
彼らを虜にしたのは、岡先生の書かれたエッセイです。
多くの本が出されており、岡先生ご自身の数学観やパリ留学の経験などについてや、岡流の教育論など、エッセイには多岐にわたる内容が書かれています。
情緒あふれる言葉で、数学という活動の生命感のようなものや、本末転倒になりがちな教育への警鐘が伝わってくる数々の名文が読める
のは、岡先生の著作の顕著な特徴です。
岡先生は、棋士・米長邦雄先生とも交流があったことで知られています。
タイトル戦に招待されたこともあるとか。
でもこれは岡先生が有名になってからの話です。
ドラマのタイトルや公式サイトでの記述からすると、ドラマの時代設定は岡先生の業績がまだ認められる前で、かつ阪田先生にとっては晩年にあたる時代のようです。
阪田先生の活躍は明治から昭和初期とのことでしたね。
一方、岡先生は大正最後の年1925年に大学講師になり、そこから研究者として出発しました。
そんな岡先生と阪田三吉先生との接点とは、どのようなものだったのでしょうか?
阪田先生は、晩年は、北村眼科という眼科に通院されていたそうです。
この北村眼科は、岡先生の奥様、みちさんの姉の嫁ぎ先だそうです。
岡先生自身との接点というよりは、岡先生の周りの人たちと阪田先生が接点があったということになりますね。
ただ、当時は家族ぐるみ、親戚ぐるみの付き合いが当たり前の時代でしたし、岡先生本人とも阪田先生は交流があったかもしれませんね。
ここで書くのはあくまでも放送前の時点での私の予想であることをご了承ください。
まず、ドラマには、阪田三吉先生の妻、阪田コユウさんも登場します。
おそらく、目の悪い坂田先生の通院の手助けをしていたのではと思います。
ドラマのテーマが、「女房」であることを考えると、夫・三吉を見守り支えてきたコユウさんにも焦点が当たる可能性がありそうですね。
私の予想では、阪田先生の妻・コユウさんから、岡先生の妻・みちさんに、一つの道を突きつめようとする夫を支える心構えが説かれるのではないしょうか?
あるいは、一つの道を極めようとしてきた者として、阪田先生から岡先生への言葉があるのかもしれません。
伝説の棋士の口から名言が飛び出すのでしょうか?
いかがでしたか?
今回はドラマへの阪田三吉の登場を知り、どのような出番があるかを想像してみました。
あくまで主役は、佐々木蔵之介さん演じる岡潔先生ですが、笹野高史さん演じる坂田三吉先生が気になってしまう将棋ファンも多いでしょう(笑)。
私としては、自分の好きな将棋と数学に、また一つ接点ができた(発見した?)気がして嬉しいです^^