朝日杯連覇でも藤井聡太八段昇段はない?タイトル戦と一般棋戦の違い

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高校生棋士・藤井聡太七段が、第12回朝日杯将棋オープン戦で優勝しました。
これにより、朝日杯連覇を達成しました。

 

 

本当に驚くべき業績ですね。
とてもすごいので、「また去年みたいに昇段とかしないの?」と
思ったりした方もいるかもしれません。

 

【関連記事】藤井聡太五段(当時)の優勝【朝日杯2018】のすごさ。六段昇段も!

 

でも、今回は残念ながら、八段への昇段はありません。
この記事では、このあたりの事情について、説明してみます。

 

 

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七段から八段昇段の条件とは?

 

八段昇段の条件というと、順位戦でA級昇級することがよく知られているかと思います。
その他にも、次の二つの八段昇段規定があります。

 

  • 勝ち数による昇段
  • タイトル獲得による昇段

 

勝ち数は、七段昇段後、190勝というすごい数字です。
藤井七段でも、2018年度の現時点までの勝ち数は40勝くらいですので、
5年位かかる計算になります。

 

一方、タイトル獲得による昇段については、
名人なら、獲得する前に通る道である順位戦A級の時点で八段、
竜王なら一期獲得で八段です。
他のタイトルなら、最近できた新規定によりニ期獲得で八段昇段です。

 

【関連記事】【2018年】将棋の八段昇段規定が改定!九段昇段条件も明確に?

 

さてここで、プロ将棋の世界にあまり詳しくない場合、
意外と陥りがちかもしれないと思うのが、
「朝日杯でニ回優勝したのなら、タイトルニ期」
という誤解です。

 

そう、これは誤解なのです。。

 

朝日杯は一般棋戦!タイトル戦ではない

 

「タイトル獲得」による昇段、というときの、
「タイトル」とは、将棋界の「8大タイトル」のことを指します。
8大タイトルを争う対局(番勝負やその予選)のことを、
タイトル棋戦と呼ぶと思います。

 

そのタイトル棋戦以外のプロ将棋の棋戦のことを、
「一般棋戦」と呼びます。

 

(正式な呼び方かどうかは知りませんが、このブログではこの呼び方を使うことにしています。)

 

朝日杯は、タイトル棋戦ではなく、一般棋戦の方に分類されます。
ですので、ニ期優勝しても、八段昇段とはならないのです。
そして、一般棋戦の優勝によっても昇段はできるのですが、
その条件での昇段は、七段までなのです。

 

【関連記事】全棋士参加棋戦優勝で昇段の規定はいつから?昇段棋士は誰だ?【歴代】

 

だから、連覇達成の藤井七段は、残念ながら(?)七段のままです。

 

インターネットで検索すると、朝日杯をタイトル戦と
誤解していると思われる記事もあり、
羽生善治九段の「タイトル100期がかかる」などの
正しくない記述がなされていたりしました。

 

その他にも、「新人王戦」のことを「タイトル」と
書いている記事もみたことがあります。

 

 

一般棋戦に対して、
「タイトル」という言葉を使うこと自体は
別にいいのかもしれません。

 

でも、将棋界の場合、「タイトル」といえば、
「8大タイトル」のことを指すのが一般的なので、
一般棋戦のことは「タイトル」と言わない方が、
誤解を避けるためにはいいかなと思います。

 

一般棋戦とタイトル戦の違いって?

 

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朝日杯は一般棋戦で、タイトル棋戦ではない、
といいました。

 

でも、タイトル戦とそれ以外の棋戦って、
何が違うのでしょうか?
特に、新人王戦のような若手限定の棋戦と違い、
朝日杯は全棋士参加なので、優勝は将棋界の
頂点に立つことを意味しますし。。。

 

大きな違いは、「持ち時間」と「番勝負」にあります。

 

朝日杯は早指しの棋戦

 

8大タイトルの棋戦の場合、対局の持ち時間が長いです。

 

一局の将棋を一日中指している感じですね。
朝から晩まで、というイメージです。
(夕方で終わることもありますが。)

 

ちなみに、タイトル保持者を決める「番勝負」だけでなく、
予選の段階で、持ち時間が長いです。

 

 

それに対して、朝日杯の場合は、持ち時間が40分と、短いです。
今回の第12回朝日杯の決勝進出者である藤井七段・渡辺棋王は、
一日に、準決勝と決勝のニ局を指しましたが、そういうことが
できるのも、持ち時間が短めに設定された棋戦だからです。

 

NHK杯なども、一局の将棋にかかる時間は同じような感じだと思います。
このような持ち時間の短い棋戦を、「早指し」の棋戦と呼んだりします。

 

早指しの棋戦ならではの面白さ、というのが色々あるのですが、
タイトル棋戦に比べると、じっくり考える時間が少ないです。
持ち時間の長いタイトル戦の方が、より本格的な将棋になると考えられるので、
タイトル戦の方が、より権威がある棋戦であるといえるかもしれません。

 

タイトル戦には番勝負がある

 

さらに、タイトル戦の場合、決勝戦にあたる勝負は、
「番勝負」の形式で行われます。
決勝で待ち受けるディフェンディングチャンピオンであるタイトル保持者に
挑戦者が挑むのですが、一回の対局で負けたら終わりではなく、
決着までに複数局指されます。

 

ちなみに、一般棋戦の場合は、前年の優勝者も、決勝で待ち受けるわけではなく、
他の参加棋士と一緒にトーナメントを戦います。
もちろん、前年の優勝者には本戦シード(つまり予選免除)はありますが。

 

 

このように、タイトルホルダーと挑戦者が何局か戦って勝負を決めるので、
まぐれの要素が入りにくく、タイトル戦で勝てるのは本当に実力ある棋士、
ということになると思います。

 

タイトル戦の権威というものは、このような点にも
あるのだと思います。

 

もちろんその他に、契約金や賞金などの大きさゆえの重みなどもあるだろうと思います。

 

ちなみに、一般棋戦でも、決勝が番勝負で行われる棋戦もかつてはありましたし、
若手棋戦である新人王戦については、決勝は3番勝負となっています。
さらに余談ですが、朝日杯将棋オープン戦の前身である、
朝日オープン将棋選手権は、「準タイトル戦」という不思議な位置づけでした。

 

朝日杯3連覇なら、八段昇段もあるかも?

 

朝日杯の連覇は、それでもものすごい業績です。

 

これまで連覇した棋士は、羽生善治九段しかいないからです。
朝日杯が、まだ若い棋戦であり、今回がまだ12回目だからというのもあります。

 

 

でも、それを差し引いても、羽生九段しか達成していなかったことを
達成したというのは、注目に値しますね。

 

 

AbemaTVで解説に出演した深浦九段も確か、
もし藤井七段が、来期も優勝して3連覇となったら、
「たぐいまれなる成績」の規定によって八段に昇段することを
検討してもいいのでは、といっていました。

 

もともと「全棋士参加棋戦による昇段」の規定も、
阿久津八段が朝日杯優勝したことによって誕生したもののようですし。

 

2020年、朝日杯3連覇によって藤井聡太八段昇段、というのも、
もしも実現したらとてもカッコいいことだと思います。
その頃までには、師匠の杉本昌隆七段も勝ち数規定により八段昇段しているので、
師弟で仲良く八段(笑)。とてもいいですね!

 

まとめ

 

>>こちらの記事もおすすめです

藤井聡太七段優勝で二連覇なるか?【朝日杯将棋2019】相手にも注目

 

朝日杯のニ連覇によって「藤井八段誕生」すると思っている人がいるかもしれません。
しかし、少なくとも現行の昇段規定ではありません。
このような誤解は、一般棋戦とタイトル戦の違いを知ることで解けます、
そこで、一般棋戦とタイトル戦の違いについて書きました。

 

ただ、すばらしい実績なので、八段昇段が検討されても、
それほどおかしくはないですよね。
とはいえ今年はないかもしれませんが。
もしも来年また優勝して3連覇達成したら本当に快挙ですので、
八段昇段が検討されるかもしれませんね。

 

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