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2017年の流行語大賞には、将棋界からも候補語が参戦(?)しました。
それはそれとして、今回は大賞候補にノミネートされた別の言葉に注目します。
政治家・小池百合子氏が使って有名になった言葉です。
実は、将棋界でもそれと似た意味の言葉がよく使われていることに気づいたので、書いてみます。
小池百合子氏が多用し、大賞候補にも挙がった言葉は、「アウフヘーベン」でした。
難しそうな横文字ですが、どういう意味なのでしょうか?
アウフヘーベンの日本語訳を調べると、「止揚(しよう)」という言葉が出てきます。
ますますわけがわかりませんね(笑)。
この言葉のルーツを考えると、難しいのはある意味当然であることが見えてきます。
アウフヘーベンは、ドイツの哲学者・ヘーゲルが考えた概念なのです。
ヘーゲルはカントの後の時代の哲学者で、哲学を体系化したとされています。
「ドイツ観念論」に分類されるカントやヘーゲルの著作は難解です。
「アウフヘーベン」が難しくても無理もありません。
難しさを嘆いてばかりいては進めないのは哲学も将棋も同じです。
だいたいの意味は、次のようになります。
ある物事に対しての、矛盾する事柄や問題点を取り込んで矛盾や問題を克服し、より完璧な発展した解決法を生み出すということ。
横文字ではなく熟語でいうと、「発展的解消」ということになりそうですね^^
「アウフヘーベン」こそ使われませんが、将棋界では「発展的解消」という言葉が意外とよく登場します。
2009年の、「女流棋士誕生35周年」をきっかけとして、女流棋士のファンクラブ「駒桜」ができました。
女流棋士との交流の場としての役割を果たしていたものの、会員が増えず、継続が困難となったそうです。
そこで「女流棋士誕生40周年」である2014年に「駒桜」は終了となりました。
この駒桜の終了のことが、「発展的解消」という言葉でアナウンスされていました。
交流の場をつくりたいものの、ファンクラブの形では困難があり、別の方法で交流の機会をつくる形で困難の解決を試みたのでしょうね^^
もっとわかりやすい形で発展的解消されたのが、「女流育成会」です。
女流育成会というのは、奨励会の女流版のようなものでした。
つまり、女流棋士養成機関ですね。
育成会がまだあった時代でも、奨励会員の養成機関である研修会に入る女子もおられました。
研修会から奨励会に進み、通常のプロ棋士デビューを目指す人もいました。
育成会と研修会の両方の対局をすることはどう考えても負担です。
そこで、研修会に一本化することが考えだされたのでしょうね。
まさに将棋界の「アウフヘーベン」といってもよいと思います^^
さて、将棋界における「発展的解消」は、女流棋界に限った話なのでしょうか?
いいえ、実はあのビッグタイトルも、「発展的解消」によって生まれたものなのです。
竜王戦は、叡王戦ができるまでは、一番若いタイトル戦でした。
その前身は、「十段戦」でした。
竜王戦は十段戦が発展的解消してできたもの、という記述が、連盟サイト上に見られます。
十段戦のどこに問題があったのか?
竜王は、名人に並ぶタイトルとしてつくられたはずです。
将棋で最強の駒の名前がついていることからも、そのことはわかります。
でも、「十段」だって十分強そうだし、インパクトがありますよね。
強いて言えば、「十段」を失冠した棋士は、十段よりも低い九段以下を名乗ることになることが問題だったのかもしれません。
竜王というタイトル名なら、その心配はありません。
それどころか、失冠した棋士が希望すれば、「前竜王」という称号を名乗ることもできます。
そう考えると、竜王の方がより良いタイトル名のように感じますので、これも立派なアウフヘーベンですね^^
いかがでしたか?
今回は将棋界から流行語大賞が出たことに便乗しつつ、あえて目立っていない「アウフヘーベン」をテーマにしました。
結論としては、これまで将棋界はよく似た意味の「発展的解消」をよく使ってきたので、「アウフヘーベン」も使う機会がありそう、という感じです(笑)。
結論自体は冗談半分ですが(笑)、今回この記事を書いてみて楽しかったです^^
将棋界も色々と発展していることが、今回記事を書いてみて改めて実感できました。
「発展的解消」は時代に合わせて必要なことであり、その結果としてよりよい方向に向かって発展していくもの、という実感が湧きました。
社会全体も、将棋界のようによい方向に向かって行くと嬉しいですね。
小池百合子氏に限らず、アウフヘーベンを目指していって欲しいです。
今回の話とずれますが、インターネットや人工知能の発展はプロの世界にも大きな影響を与えているようです。
そのような時代の大きな変化の中で、棋士の皆さんたちは新しいものを取り入れることで自らを発展させていきました。
我々将棋ファンも、変わる時代の中で、大いに自身を発展させていきましょう。
ファンとしての将棋の楽しみ方や、将棋の上達も含めて、色々と工夫してレベルアップを図っていきたいですね。