よく将棋初心者に
おすすめされる戦法に、振り飛車戦法の一種である「四間飛車」があります。
ちなみに、そういう文脈ででてくる四間飛車は、角道を止めるノーマル四間飛車という種類のものです。
そのノーマル四間飛車をおぼえてこれから指していくとして、
当然、
居飛車側の対策を知っておく必要があります。
相手がやってくる可能性のある戦法を学んでおかなければならないからです。
相手も振り飛車党の場合、相振り飛車になることが多い方もいるかもしれませんが(^^;)。
個人的な考えになりますが、その際、一番最初に勉強しておきたいのは、
居飛車側が急戦で戦いを挑んでくる場合の定跡である、という気がしています。
ここでは、どうしてそう思うのか、その理由について書いておきます。
今回の内容を特にお役立ていただけると思うのは、
普段から、リアルの知り合いと一緒に将棋を指すことが多い人、
または、インターネットで知り合った、気軽にやりとりができる相手がいる人です。
というのは、知らない人との将棋だとどうしても、
勉強した戦法と違う将棋になる確率も高くなってしまいます。
たまに
特定の戦法で指すことをお願いできるような将棋仲間がいると、より勉強を活かしやすいからです。
もちろん、そういう将棋仲間がいる人以外にも、今回の内容は参考していただきたいし、十分に意味ある内容となっています。
四間飛車も意外とおぼえることが多い?
ノーマル四間飛車戦法は、居飛車に比べればおぼえることは少ないと考えられています。
ただし、振り飛車の中では多いともいわれますが。
ただ、そうはいっても、居飛車側の対策が色々あり、
相手の出方ごとに定跡とかを学ぶ必要があるはずなので、
少ないなりに結構おぼえるべきことはあるといえそうです。
このあたりのことをもう少し詳しくみていきます。
四間飛車がおぼえることが少ない理由
居飛車の場合、相居飛車の戦型はとても種類が多いです。
相手との駆け引きで、どのような形の将棋になるのかが変わってきたりします。
一手一手に色々な選択肢があって、迷うこともあるかもしれません。
その点、四間飛車の場合は、
自分側の形(専門的にいうと駒組み)は相手の出方によらずいつもだいたい同じでいいので、
序盤はあまり迷わずに済むし、しかも大きな間違いもしにくいです。
でも居飛車側の四間飛車対策は多い
一口に居飛車側の対策といっても、
対・四間飛車の戦い方は、とてもたくさんあります。
居飛車の対・振り飛車持久戦は、囲いを堅くして王様の守備力を高くする戦い方です。
囲い方に応じて戦法があるわけですが、その囲いには、
居飛車穴熊をはじめとする様々な種類のものがあります。
もう一つ、居飛車の対振り飛車戦法には、急戦という、王様の守りをあまり固めずに、
早い段階から攻めていく戦い方もあります。
急戦にも、攻め方が色々あり、対・四間飛車の急戦ですぐに思いつくものだけでも、
4種類くらいはあります。
このようにたくさんある中で、相手がどの戦法を使ってくるかはもちろん、
対局が始まってある程度手数がすすんでからでなければわかりません。
当然、どれか一つに絞って指し方の勉強をしても、「外れ」てしまうのも普通でしょうね・・・
でもだからといって、何も勉強しない、というわけにはいきません。
やはり、たくさんある戦法の中から、せめてどれか一つでも、勉強をしておきたいですよね!
もしかしたら運よく、知っている戦法をやってきてくれる、なんていう可能性もありますから。
また、これが重要なのですが、将棋の場合、一つの定跡を学んで得たものが、他の戦法でも活きてくることも十分あります。
知っておきたい急戦の定跡と理由
さてこの記事では、ノーマル四間飛車をこれから指していきたい人は、
居飛車側が急戦を仕掛けてくる場合の定跡を勉強しておくといい、
という話をすると予告していましたね。
そう考える理由と、色々ある急戦の中でもどの戦法の対策をしておくのがいいのか、について、
個人的な意見を述べておきたいと思います。
なぜ急戦の定跡から学ぶべきか
まず、どうして四間飛車を指したい初心者が、
居飛車側が急戦をやってくる定跡を学ぶ必要があると考えるのか、
その理由についてです。
理由は二つあります。
一つ目ですが、居飛車対振り飛車の持久戦の将棋の場合、
居飛車から攻め方が色々ありすぎて、
序盤から中盤にかけての定番の定跡というものがなく、
どのような展開になるかは、その場の成り行きで決まってしまう、
というような印象があるからです。
(あくまで個人的な印象です。)
もちろん一定の定跡は確立されているはずですが、私なども、居飛車穴熊とかを指すときは、何か決まった指し方を思いだしながら指すのではなく、一局ごとにその都度考えながら指しています。
決まった指し方をしてくると限らない以上、予め棋書などで学ぶ意味がどこまであるかが、わからないので、対振り持久戦の定跡を初心者四間飛車党が勉強しても効果が薄い可能性があります。
二つ目の理由ですが、急戦で挑んでこられると、受け方を知らなければ、
一気につぶれてしまう、というものです。
居飛車側が一直線に攻撃してくるので、普通の受け方だとすぐに攻め倒されてしまいます。
振り飛車側のカウンターの方法を知っていないと、かなり厳しいでしょう。
その点、対振り持久戦相手なら、相手の棋力によるけれど、
いきなりひどい目にあうことは少ないかと。
最近の傾向(ずっと前からかもしれませんが)的に、
対・四間飛車であれば、
持久戦を選択してくる人の方が多いのではないかとは思います。
ただ、急戦の定跡を学んでおかなければ、
たまに急戦を指されていいところなく負けてしまうこともある得ますので、
基本的な対処法はマスターしておくのが理想的ですね。
逆に、急戦に対応できる知識と度胸が身につけば、
持久戦相手にも十分に戦えるようになっていくに違いありません。
とりあえず46右銀急戦を
居飛車の対・四間飛車急戦には、銀が主役になるものが多いです。
基本的なものは、46右銀急戦と、46左銀急戦です。
この二つの違いは、その名の通り、居飛車側が、自分の右側の銀を繰り出すか、左側の銀を繰り出すかです。
四間飛車を指すならまずは、これら46銀戦法のうちのどちらでもいいのですが、定跡を学ぶといいと思います。
どちらかというと、46右銀戦法の方が、居飛車側の構えがシンプルなので、
こちらを先に学ぶといいかな、と。
居飛車対四間飛車に限らず、銀を使った攻めは将棋の基本なので、
やはり早い段階でそのエッセンスに触れておきたいですね。
相居飛車の将棋にも通じるものがありますし。
おっと、四間飛車側の立場になったコメントもしておきべきですね。
46銀戦法への四間飛車の対応には、振り飛車らしい「捌き」が含まれます。
捌きというのは、派手な指し方、くらいに思っておけばとりあえずOKです。
振り飛車の魅力の根幹の一つは、捌きにあるので、
その一例として学んでおくととてもいいと思います。
棒銀戦法の勉強も是非
居飛車の、四間飛車に対する急戦戦法には、
棒銀戦法というのもあります。
将棋をあまり知らなくても、一度は名前を聞いたことがある人が少なくないと思います。
恐らく将棋の戦法の中でも最も有名な戦法の一つですね。
棒銀は、ひふみん、つまり、加藤一二三九段の得意戦法としても知られます。
天才・加藤一二三先生がとても熱心に優秀性を主張されているくらいなので、
四間飛車対策の棒銀は、四間飛車側からすれば手強い戦法です。
なお、「四間飛車対策の」とわざわざ書いたのは、棒銀と呼ばれる戦法は、相居飛車にもあるからです。
ひふみん先生の戦法だから、観る将棋ファンから将棋に入った方には、
是非勉強することをすすめたいというのもあります。
でも、それだけでなく、棒銀の定跡そのものに、学ぶ価値があると感じます。
実戦で指す人は意外と少ない印象なので、すぐに役立つかはわかりませんが。
自分が指す戦型に関わらず、誰もが勉強するといい、と思っているくらいです!
その名の通り、一気に一直線に攻めてくる居飛車棒銀。
振り飛車側も、周到に備えて反撃に備えます。
46銀戦法の場合、定番の定跡手順に、お互い派手に打ち合う変化が現れます。
でも、棒銀の場合だとどうでしょうか?
確かに、お互い、大駒(飛車や角)を活用しようと技を駆使します。
しかし、互いに最善を尽くした変化が一段落したときには、
まだ歩以外の駒の交換はされていないくて、
そこで居飛車側が銀をいったん引いて体勢を立て直す、
というような、まるで達人同士の戦いのような展開が定跡手順に現れます。
まあ、プロ棋士たちの実戦の中で定跡ができていったので、その意味では確かに達人同士の戦いそもものなのですが、
プロの将棋の中でも特に巧みな手が表れている気がするのです。
こういうと、棒銀は地味な戦法と思われるかもしれませんが、
加藤一二三先生の棒銀の将棋には、派手な手やかなり
大胆な勇気あふれる手も登場するので、
定跡の勉強とともに、加藤一二三九段の棋譜観賞もおすすめしたいですね(^-^)。
まとめ
今回のテーマは、将棋初心者の読者さんを想定し、
通常の角道を止める四間飛車、
いわゆるノーマル四間飛車を勉強するときに、
どの定跡から学んでいけばいいか、というものでした。
私自身は初心者時代から基本的には居飛車党なのですが、
今回は四間飛車の立場になって考えてみました。
級位者時代は、46銀や棒銀を中心とした急戦で、
四間飛車党のライバルや、道場で対戦した他のお客さん相手に
立ち向かっていました。
定跡を詳しく勉強していないライバル相手だと、
結構簡単に攻め倒せました。
逆に、定跡手順で対応されると、居飛車側としては結構苦戦することも少なくなかったです。
ですので、四間飛車側が、居飛車急戦への対策を知っておくことにはとても大きな意味があるといえます。
それにしても、今回のように、視点を変えて考えてみるのは楽しいですね。
これもある種の「ひふみんアイ」ですね(笑)。
最近は急戦をごくたまにしか指さなくなってしまったので、
前におぼえた定跡を思いだしながら、色々と書いてみました。
こうすることで頭が整理され、私自身もまた新鮮な気持ちで
将棋を学んでいけそうです。
「指す将」として活動することが減ってきている私ですが、
さらなる(棋力面での)ステップアップを目指して少しずつ前進したいものです(^^)。