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永瀬拓矢叡王が、2019年10月1日(火)、
斎藤慎太郎王座との王座戦5番勝負の第3局に勝利し、
3勝0敗のストーレート勝ちで番勝負を制して、
タイトル奪取に成功、永瀬・新王座誕生となりました。
王座挑戦に成功した永瀬拓矢叡王は、叡王と合わせて
タイトルを二つ保持する二冠の棋士となりました!
今回のこの永瀬二冠誕生は、現在の将棋界にとって、
少なくとも二つの大きな意味があるといえます。
それが何かというと、、、
プロ将棋界に非常に詳しい方には、
今更の話かもしれません。
しかし正直、現在の将棋界の動きは、かなりめまぐるしいので、
状況を整理したい方のが、むしろ多いだろうと思っています。
かくいう私自身、展開の早さについていけなそうになってきていますから。。。
そういう方は是非、以下を軽く一読してみてください(^^)!
目次(もくじ)
現在は前王座となった斎藤慎太郎七段との第67期王座戦5番勝負を制した永瀬拓矢叡王。
ここ数年、勝率や連勝数などで、素晴らしい数字を出していましたし、
公式棋戦で、将棋界の上位に食い込む活躍をしてきました。
一方の、初防衛戦に挑んだ斎藤慎太郎七段も、
詰将棋愛で知られ、終盤力が高いイメージがありますし、
個人的には正直、王座戦がこんなに早く終わるとは想定していませんでした。
しかし、終わってみれば挑戦者側の3連勝と圧勝。
前王座の斎藤慎太郎七段のコメントからも、
内容的にも永瀬先生が強さをみせつける形となったようです。
これで永瀬拓矢叡王は、斎藤先生から奪取した王座と、
2019年5月11日に、高見泰地叡王(当時)から奪取した、自信初となるタイトル・叡王とを
あわせもつ、二冠の棋士となりました。
これはすごいことですね・・・!!
王座の奪取が2019年10月1日ですから、
初タイトル・叡王の獲得から5か月と待たずに、
二個目のタイトル・王座を獲得したことになります。
これまで一つもタイトルをもっていなかった状態から、
5か月で二冠まで登りつめるなんて、長い将棋界の歴史の中でも、
滅多にないことだと思います。
・・・
・・・と、思ったのですが、
よく考えてみると、いましたね、、、わりと最近。。
豊島将之名人が、2018年に、初タイトル・棋聖を獲得した後、
3か月くらいで2つ目のタイトル、王位をとっています。
なので、永瀬二冠が「最速二冠」ではないのですね。。
このように、最近の将棋界はとてもドラマティックですね・・・!
ここの内容は、当ブログの記事「【確定】新規定による八段昇段は永瀬or斎藤!タイトル連覇or二冠で通算2期に」
と合わせてお読みいただけるとより楽しいかもしれません。
2018年に、将棋のプロ棋士の八段昇段に関する規定が、改定されました。
内容は、八段昇段に新たな条件が付け加えられるというもので、
タイトルを通算2期獲得することで、八段に昇段するというものでした
(この新ルールは、2018年5月頃に発表され、6月から施行)。
これによって、強い若手棋士が一気に八段、ひいては九段に昇段する可能性が開けたのでした
(九段昇段条件の一つに、タイトル通算3期というのがあるため)。
若手棋士がタイトル戦登場したり、挑戦者になる可能性が生じるたびに、
この新ルールで最初に八段昇段するとしたら誰だろうか、と、
「新規定初昇段」戦線をチェックしたりするのは、とても楽しいものでした。
結局、斎藤慎太郎vs永瀬拓矢の王座戦で、
お二人のどちらか勝った方が、2連覇か二冠となり、
タイトル2期獲得を果たすことになるので、
どちらが王座をかけた戦いは、同時に八段昇段がかかる戦いでもありました。
そして最終的には、これを制した永瀬先生は、新しい規定で初となる八段昇段者となったのでした。
こうして、新しい昇段ルールが初めて適用された棋士として、
永瀬二冠の名は将棋界の歴史に刻まれたわけです。
もちろん、そういうことがなくても永瀬二冠は、強い棋士として、
今後もトップで戦い続けることで、各種の記録や人々の記憶に残っていくことでしょうけれど。
なお、新しい規定について詳しくは、過去の記事を参照いただれば幸いです。
関連記事 ー> 【2018年】将棋の八段昇段規定が改定!九段昇段条件も明確に?
2018年、将棋界に、複数冠、つまり、タイトルを複数もつ棋士がいない状態が生じました。
いわゆる「将棋界の戦国時代」が、非常に久しぶりに訪れたのです。
その後、わりとすぐに、豊島将之・現名人によって、「戦国時代」には終止符が打たれたのですが、
それでも、「複数冠」の存在が希少であることには変わりはありません。
ですので、この意味でも、永瀬拓矢「二冠」の誕生には、大きな意味があるといえます。
先ほども説明したように、2018年版「将棋界の戦国時代」を終わらせたのは、
豊島将之・現名人でした。
時代は一気に「豊島一強」となっていくのか、と思われたのですが・・・。
その状況を変えたのが、渡辺明・現三冠でした。
「永世竜王」の称号を最初に手に入れたり、
複数冠を保持していたこともあった渡辺明棋王でしたが、
一時期は、羽生善治九段に竜王を奪取され、A級順位戦で降級するなど、
不調に陥りました。
しかし、その後、勝率が一気に改善する「復調」をみせました。
順位戦では、B級1組で圧倒的な好成績をみせ早々にA級復帰を決めました。
さらにタイトル戦では、棋王を防衛し、王将戦で挑戦者になり、
久保利明・現九段から王将位を奪取することで、二冠になるという活躍。
さらに、豊島将之名人から、棋聖を奪取して、三冠に。
その結果、渡辺明三冠は、
現在の将棋界でもっとも多くのタイトルを保持している棋士となりました。
復帰後のA級順位戦でも、開幕から3連勝とトップを走っています。
渡辺明先生が三冠となったことで、将棋界は渡辺時代に突入したのでしょうか?
少なくともタイトル数、という意味では、その傾向にさらに拍車がかかります。
渡辺明・現三冠に棋聖を奪われて、二冠に後退した豊島将之名人は、
その後、王位戦で、挑戦者の木村一基九段とのフルセットとなった防衛戦の末、
王位を奪取されてしまいます。
名人を含む三冠の棋士だった豊島名人ですが、現在は名人のみの「一冠」に後退してしまいました。
渡辺明三冠、羽生世代に近い木村一基王位がトップに君臨することとなった現在の将棋界。
トップを目指す若手棋士たちにしてみれば、まだまだ上の世代が強いことを見せつけられているようで、
厳しいものがあるのではないでしょうか。
そんな中、たとえ若手同士のタイトル戦を制してのこととはいえ、
二冠の若手棋士が登場したことは、大きな意味をもつことでしょう。
20代半ば世代の若手棋士の中で頭一つ抜けた存在となった、永瀬拓矢叡王・王座。
(もっとも、豊島名人もまだ20代ですが・・・。)
今後、防衛戦や他のタイトル戦・一般棋戦などでの戦いに注目したい棋士ですね!!
永瀬拓矢叡王が、王座戦の挑戦成功により、
王座・叡王の二冠になりました。
タイトル2期獲得によって八段となった初めての棋士としても、
永瀬拓矢の名は将棋の歴史に残っていくことになります。
また、豊島将之名人が上の世代の棋士によって一冠に後退した今、
二冠の若手棋士として、どこまで将棋界の勢力図に影響を与えられるか、
とても楽しみです。
今後は、渡辺明三冠や羽生世代やそれに近い棋士たちとも戦っていくことになるでしょう。
きっとまた面白いことになるので、将棋界の今後の展開を見守っていきたいですね。