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2018年に追加された八段昇段の新規定による昇段が2019年内に確定する見込みです。
タイトルを2期とると八段昇段できるという2018年につくられた規定 により八段になる棋士がついに現れることが確定しています。
2019年秋から冬のタイトル戦で戦う2名の棋士のどちらかが七段から八段に昇段するのです。
そのタイトル戦とは、その2名の棋士たちとは誰なのか、どういう流れでここまできたについてまとめていきます。
プロ将棋の段位は、九段が最高ですが、
九段の一つ下の八段昇段も、相当に大変なものです。
以前までなら、将棋界のトップ層である「A級棋士」になるか、
190勝(七段昇段後)という勝ち数を積み重ねるか、どちらかの条件をクリアするしかありませんでした。
一方、2018年6月にスタートした新しい八段昇段規定によって、
タイトルを2期獲得することによっても八段昇段できることになりました。
この新規定によって、順位戦でA級まで上がれていない若手棋士にも、
八段というトップ棋士の証ともいえる段位を手に入れるチャンスが開かれました。
この2018年の新規定によって、藤井聡太七段がタイトルを2期獲得して、
一気に八段へのスピード昇段を決める可能性があるのでは、という方向で、
とても盛り上がったのでしたが・・・。
結局、先輩若手棋士たち2名のどちらかがが先にこの新ルールによる八段昇段で昇段することになりました。
先輩たちの流石の貫禄といえますが、、、では、それは誰と誰なのか。
以下、説明していきましょう!
目次(もくじ)
新規定で定められている、タイトル2期獲得による八段昇段。
そのルールで昇段をする最初の棋士が決まるのは、
王座戦というタイトル戦になります。
2019年に開催される第67期王座戦5番勝負の勝者が、
次期王座となり、また同時に、タイトル2期獲得の条件を満たすので、
(七段から)八段に昇段します。
その第67期の王座戦で王座のタイトルをめぐって対戦するのが、
現王座である、斎藤慎太郎王座と、挑戦者の永瀬拓矢叡王です。
それぞれ関西と関東の有望若手棋士ですね。
両者ともにタイトル保持者ですが、段位はともに七段。
通算タイトル獲得回数は、1期です。
なので、2019年冬の王座戦で勝った方が、
王座獲得によりタイトル獲得通算2期となって八段昇段します。
このような理由により、タイトル2期八段昇段が、
斎藤王座か永瀬叡王のどちらか、ということが確定しているのです。
なお、斎藤王座、永瀬叡王ともに、順位戦はB級1組の所属ですが、
王座戦の5番勝負の決着は、順位戦で昇級が決まるよりは早いので、
王座奪取or防衛よりも先にどちらかがA級昇級によって八段昇段するということはありません。
また、斎藤慎太郎王座の七段昇段は2017年3月8日、
永瀬拓矢叡王の七段昇段は2017年11月22日ですので、
王座戦決着よりも先に勝ち数規定での八段昇段が決まるというようなこともあり得ません。
お二人ともものすごく勝っている棋士ではありますが、
七段昇段後190勝という条件は、そのような高勝率棋士でさえも、
すぐには達成できるものではないわけですねー。
王座戦で対戦する両者の、タイトル戦歴もごく簡単にみておきましょう。
とりあえず、獲得タイトルと、王座戦登場までの戦歴を軽く説明したいと思います。
まずは、(王座戦における)チャンピオンである斎藤王座から。
斎藤慎太郎現王座は、第66期王座戦で挑戦者になって5番勝負に勝ち、王座を奪取しました。
王座戦の挑戦者決定トーナメントの決勝では、
渡辺明棋王(当時)というトップ棋士に勝っています。
この勝利によって挑戦権を得たわけですね。
挑戦者決定トーナメントでは決勝より前に、
後に叡王のタイトルの座についた高見泰地六段(当時)、
A級棋士でもある久保利明王将(当時)、
そして藤井聡太六段(当時)という強敵たちと当たり、
勝ち進みました。
すごい相手に勝って挑戦権を手に入れたのですね。
そして王座戦の5番勝負で、中村太地王座(当時)に挑戦しました。
結果は見事に勝利し、初タイトルである王座を手にしたのでしたね。
この勝利により、斎藤慎太郎七段は、中村太地王座(当時)の王座戦連覇とタイトル2期による八段昇段を阻止したことになります。
フルセットの番勝負で、簡単な勝利ではなかったと思います。
タイトル戦は毎回とても難解な将棋になるので、形勢判断などは思い出せませんが、
観ていて、どちらが勝つかわからないな、と感じた記憶がかすかにあります(^^)。
斎藤先生にとって中村先生との番勝負は、大変な戦いだからこそ、価値あるものだったと思います。
手にした王座というタイトルも、失いたくはないでしょうね。
続いて、挑戦者の永瀬拓矢叡王についてです。
こちらは、保持しているタイトルである叡王についてもみておきましょう。
永瀬拓矢現叡王は、高見泰地叡王(当時)に挑戦し、叡王のタイトルを奪取しました。
そのときの(第4回)叡王戦7番勝負では、4連勝のストレート勝ちで勝利という圧倒的強さをみせつけていましたね。
この勝利によって、高見泰地叡王(当時)の叡王戦連覇と八段昇段を阻止したことになります。
このあたりは、先ほどの中村vs斎藤の王座戦と事情が似ていますね。
中村vs斎藤の王座戦、高見vs永瀬ともに、挑戦者の方は初タイトルをかけていましたが、
チャンピオン(タイトル保持者)の方は、タイトル2連覇による八段昇段がかかっていたのですね。
結局、挑戦者側が勝って、新規定での八段誕生を阻止したわけですが。
その阻止側だった棋士である斎藤・永瀬が、今度は自身の新規定八段をかけて戦うというのは、面白い話ですね。
永瀬叡王は、挑戦権を獲得した第67期王座戦挑戦者決定トーナメントで、
豊島将之名人に勝って挑戦権を獲得しました。
二冠の名人に勝ってタイトル挑戦ということで、すごみを感じますね。
その前に勝ってきた相手もやはり強豪ぞろいです。
山崎隆之八段、高見泰地七段、佐藤天彦九段に勝ってきました。
特に、豊島名人の前の名人である佐藤天彦九段に勝ち、
さらにその後に豊島名人にも勝ってのタイトル挑戦というのは、
すでにトップ棋士の貫禄を感じさせます。
高見七段もタイトル経験者ですし、
山崎八段も棋戦優勝経験など実績があり、トップクラスの棋士です。
面白いことに、山崎、高見、佐藤(天)と、永瀬の4名は、
歴代の叡王戦優勝者なのです。
2019年の王座本戦は、歴代叡王がそろい踏みだったのですね。
ここでいう「歴代叡王」は、叡王戦がタイトル戦になる前の時代も含んでいます。
斎藤王座は2連覇を、永瀬叡王は二冠を。
2期目のタイトル獲得をかけて、王座戦5番勝負を、
若手棋士同士が争います。
この番勝負によって、
これまでにまだ適用されたことがない、
タイトル通算2期による八段昇段の新ルールで八段になる棋士が、
いよいよ将棋史に登場することになります。
新規定による初の八段は、斎藤先生になるのか、それとも永瀬先生になるのか?
その意味でも、今度の王座戦5番勝負は注目ですね!