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2018年4月10日に、阿部光瑠六段と藤井聡太六段の対局が予定されています。
舞台は竜王戦ランキング5組です。藤井六段の竜王戦2期連続昇級による七段昇段がかかっているので、結果が気になる一局ですね。
以前、阿部光瑠六段が「N高」の将棋部の顧問をやっていることに注目して記事を書きました。
そのような活動や、アニメ好きであるという点など、阿部先生の個性ももちろん大きな魅力です。
しかし、少し調べてみると、阿部六段は将棋の実力や研究熱心であることにも定評があるようです。
今回は、阿部六段が升田幸三賞にノミネートされたことがある、という話を書きます。
なお、以下の内容は将棋世界2017年8月号に収録の升田幸三賞選考会議を参考にしています。
目次(もくじ)
升田幸三賞は、新たな戦法の開発をしたり、一局の将棋の中で妙手を指したりした棋士におくられます。
独創的な将棋を指した名棋士・升田幸三先生にちなんだ賞です。
阿部六段は、この賞の選考会で名前を挙げられ、升田幸三賞候補になったことがあります。
矢倉戦法は、以前はプロ将棋の主流の戦法でした。
かつてトップ棋士たちがタイトル戦の舞台で矢倉の戦型で名勝負を戦いました。
もちろん今でも矢倉は指されますし、タイトル戦にも登場するのですが、以前に比べると採用率がかなりさがったといわれています。
矢倉が減った理由の一つは、矢倉に組もうとする先手に対して、後手が急戦を仕掛ける将棋が多くなったことがあるそうです。
矢倉囲いをつくっている間に攻撃されてしまうため、先手が勝ちにくいようです。
急戦にする場合、後手は左美濃に組むことが多いです。
相居飛車の将棋では美濃囲いは珍しいのですが、以外に(?)有力であることが最近わかってきたそうです。
この場合、後手は角を最初の位置から動かしません。
飛車を動かさないことを居飛車といいますが、角を動かさないことは居角と呼びます。
この居角左美濃からの急戦が有力で、プロ棋界では、先手、つまり矢倉側が苦戦しているのです。
阿部六段は早くからこの戦法を指し、他の棋士にとっても印象的だったようです。
阿部六段はこの戦法で、永世名人資格をもつトップ棋士である森内九段に勝利しています。
将棋世界2017年8月号には投了図も載っているのですが、大差での圧勝といってよい勝ち方でした。
阿部先生の実力や研究熱心さがわかるエピソードですね。
その後、A級順位戦の舞台でやはり森内九段相手に、今度は渡辺明先生が急戦居角左美濃を使って勝っています。
トップ棋士が大事な戦いで採用するほどに、優秀性が認知されている戦法なわけですね!
結局、森内先生を圧倒した将棋よりも先に、千田翔太六段がこの戦型を指していたことが、選考会議で判明しました。
さらに千田先生は、角換わり腰掛け銀の戦型でも革新的な戦法を指していたので、最終的に受賞者に決まったのは阿部六段でなく千田六段となりました。
もともとどちらの戦法も、コンピュータ将棋の影響で考案されたもののようですので、コンピュータ将棋に詳しい千田先生が賞をもらったのは自然な流れといえるかもしれません。
しかし、新戦法にいち早く注目し、しかも森内九段に勝利した結果、選考委員をつとめた棋士(糸谷八段)や新聞記者(村瀬さん)がまっさきに名前をあげるほどのインパクトを残し、升田幸三賞の有力候補となった阿部六段も、見事というほかありません。
いかがでしたか?
私は、「ニコニコ超会議2017」での活躍を観て、阿部光瑠先生に好印象をもっていました。
その阿部先生が、将棋も強いとなると、ますます応援したくなります^^
藤井六段との対局はどちらを応援するか迷いますね(笑)。
森内九段に勝った若手棋士同士の対局ということで、熱戦が期待されますね。