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2019年4月1日(月)。
この日は、新元号「令和」が発表されて、
とても話題になっていたと思います。
それはそれで要チェックな話題ではあるかもですね。
でも将棋ファンとしては、やっぱり、2018年度の将棋大賞の発表も、
新しい元号以上に心が湧く話題だったことと思います。
今回は、その将棋大賞の一つ、勝率部門に関連するお話になります。
「裏話」といった感じのものです。
この記事の題名からだいたい先が読めてしまった方もいると思います。
そういう人には、今更の情報ですね・・・(_ _)
もしそうでなくて、気になってきた方は、以下、お楽しみいただければと幸いです(^^)。
目次(もくじ)
藤井聡太七段は、2018年度の公式戦の対局で勝率がトップでした。
そのため、将棋大賞記録部門の勝率一位賞は藤井七段に贈られました。
歴代の勝率記録の中でも、
一位の中原誠永世名人とニ位の中村太地七段には
及ばないものの、第三位という素晴らしい成績でした。
まさに歴史的な業績といっていいでしょう。
しかも、途中では、最高記録である中原永世名人の記録を超えるかもしれなかったほどの勢いでした。
それも2018年度のわりと終盤の方までその勢いでした。
年度の対局が残すところわずかなので、歴代一位にとどくか、と、
注目されていました。
この素晴らしい勝率記録のために、藤井七段の銀河戦の対局が、
放送よりも前に結果が知られてしまう、いわゆる「ネタバレ」が起きてしまうことになりました。
それはどういうことなのか、以下、みていきましょう。
さて、2018年度の将棋大賞が発表されたのは、
冒頭でも書きましたように、2019年4月1日でした。
例年、4月1日に公表されるようです。
(2016年度の大賞は2017年3月31日だったみたいですが)
一方、将棋の公式戦には、テレビで放送が行われる棋戦もあります。
いわゆるテレビ棋戦と呼ばれます。
テレビ棋戦では、対局が実際に指された日(番組収録日)と、
対局が放送される日が、別な日になります。
結果は、原則として放送が終わるまでは秘密にされます。
これがいわゆる、「未放送のテレビ棋戦の結果」を公表しない、という原則です。
対局の勝敗の記録は、実際に対局した日にもとづいて行われます。
連勝数も、年度成績も、勝ち数規定による昇段も、
すべて実際の対局日を使って計上されます。
そのため、連勝数が、後からテレビ棋戦の結果が公表されて反映されたことで
削られてしまうことがたまにあります。
以前にも実際にあって、記事にしました。
私がテレビ棋戦に興味をもつようになったきっかけでもあります。
将棋大賞の記録は、年度ごとのデータですが、
それも、たとえ放送が年度が変わってから行われるとしても、
勝敗の結果は、実際の対局が行われた日が属する年度の成績に組み込まれます。
つまり、将棋大賞で表彰される記録には、未放送のテレビ棋戦の結果も(あるならば)含まれるわけですね。
では、今回の歴代3位でもある藤井七段の年間勝率一位の記録の場合、
「未放送のテレビ棋戦」の対局が、含まれていたのか?
答えはYESで、その該当するテレビ棋戦が、
「銀河戦」でした。
ケーブルテレビなどで観られる「囲碁将棋チャンネル」で放送されている棋戦です。
その銀河戦の本戦で、藤井聡太七段は、近藤誠也五段(当時)と当たっていました。
結果を事前に知られてしまう、「ネタバレ」となったのは、この対局です。
以下、もう少し詳しく説明してみます。
いつ「バレ」てしまたのかというと、2019年3月27日です。
3月27日の中田宏樹八段-藤井聡太七段戦(竜王戦ランキング戦4組)の
勝負が決着した後、次のような情報が色々なサイトのニュース記事で公開されました。
これで、藤井七段の年度成績は45勝8敗(未放送のテレビ対局を含む)となった。
(引用元: 藤井聡太七段、18年度も勝率1位…2年連続 )
そうです。
なんと「未放送のテレビ棋戦を含む」となっていたのです!
よく、将棋連盟のサイトや、新聞社などのメディアのニュース記事に
表記されている、「未放送のテレビ棋戦を除く」という文言があります。
私的には、今やすっかりおなじみとなっているんですが、多分、皆さんも一度くらいみたことがあるだろうと思います。
将棋大賞発表の日が4月1日だったのに対して、
銀河戦の藤井七段-近藤五段戦については、4月2日の放送でした。
なので、どのみち、事前に結果は知られてしまうことが決まっていたのですが、
4月1日にネタバレされる予定だったものが、3月27日にネタバレされるという、
大幅なネタバレの前倒し(?)が行われていたわけですね。
なんだか気前がいい感じがして、いいですね、こういうの(笑)。
「ネタバレ」と書きましたが、、ニュース記事にしても、将棋大賞にしても、
公表したのはあくまでも、勝敗の「数字」だけです。
ネタバレしようと思ってしたわけではありません。
でも、数字だけなのですが、その数字から、プロ将棋に詳しいファンには、わかってしまうのです。
実際、SNSなどで、「ネタバレ」を報告するコメントをみられます。
それでは、一体どのようにして、棋戦や対局結果が特定できてしまうのか、
いよいよ説明に入りたいと思います。
銀河戦の藤井七段の対局については、
近藤戦の一つ前の阿部戦、3月27日時点で、はすでに放送されていましたので、
「未放送の対局」は、その次の近藤戦ということになります。
銀河戦の本戦は、放送スケジュールは、わりと予想しやすいので、
未放送の対局の放送日程は、プロの棋戦の仕組みとかに詳しい人なら、
事前に検討がついてしまいます。
なので、藤井-近藤戦が、2019年4月2日に放送されることは、
事前にわかっていました。
銀河戦は対局収録から放送まで結構期間がありますので、
当然、対局は2018年度中に行われたことも容易に推測できました。
さらに、将棋連盟がwebで公開していた藤井七段の
2019年3月27日以前の年度成績(当然、未放送のテレビ棋戦を除くもの)と、
ニュースサイトで公表された「未放送のテレビ棋戦を含む」数字を比べると、
藤井七段の負け数が増えていない上に、勝ち数や対局数は、
中田戦での一つを加えたものよりもさらに増えていることから、
銀河戦の近藤戦は、藤井七段の勝利に終わっていたのだ、と理解できた、という風なわけです。
要は、「ネタバレ」を発見するには、将棋連盟のサイトをみて、テレビ棋戦を含まない成績をチェックしておき、
テレビ棋戦の収録や放送のスケジュールもある程度予想できるようにしておく、ということが基本になります。。
ただまあ、それなりに手間がかかるので、わざわざやる必要はないでしょう。
ここでいいたかったのは、記録とかが関わるときは、そういう「裏話」もあったりします、という程度のことです。
ついでに、このブログのような、将棋の情報発信をする側は、そういうことも調べていたりします、という、舞台裏的なことも知っていただけたら嬉しいですね。
普通の将棋ファンの方は、将棋界ではそういうこともあるんだ、という程度に受け止めておけばいいかな、と。
こういうのは将棋ならではの話だと思うので、雑談用の豆知識として使うのもありですね(^^)。
ただ、熱心なファンだと、応援する棋士の成績をチェックするので、結果的にネタバレになってしまうことがある、という現象が起きうるのですね。
そこでネタバレに興ざめしてしまうこともあると思いますが、そこも含めて楽しめるようだととてもいいと思いますね(^-^)。
将棋に少し詳しい方なら、時期的に、2019年度のNHK杯の予選も、
2019年度が始まるまでは、未公表なので、
藤井七段の勝率記録にも影響があったのでは、と思ったかもしれません。
でも藤井七段は、2018年度に続いて、2019年度もNHK杯の予選は免除でした。
免除理由は、朝日杯での優勝です。
2018年度と同じですね(^^)
改めて、連覇ってすごいな、と思います。
NHK杯の予選がどういう条件で免除されるかですが、
NHK杯のサイトのリニューアルにともない、番組のサイトで確かめることができなくなってしまっています。
以前は確か、トーナメント表と対局日程がみられるページに、書かれていたと思うのですが。。
このように、NHK杯予選については、2018年度中に藤井七段の対局はありませんでした。
ただ、本戦については、わかりません。
というのは、実は、藤井七段の2018年度成績の「45勝」には、
計算上、藤井-近藤戦とは別に、もう一局、
2018年度に対局が行われた「未放送のテレビ棋戦の対局」が、
含まれていたようなのです。
それは銀河戦の、近藤五段戦の次の畠山鎮七段との対局かもしれませんし、
NHK杯の坂口悟六段戦なのかもしれません。
どちらなのか、そのうちわかるでしょうから、個人的に楽しみにしています(^^)。
テレビ放送を楽しみにしているファンの方もいるかもしれませんので、
しばらくの間、このことはここだけの話、ということにしておきたいます。
あまり大きくは取りあげないことにして、ここにさりげなく書くにとどめました。
今回は主に、銀河戦の藤井-近藤戦の結果が放送より前に
実質的にネタバレされていた件についての情報でした。
記録や昇段が関わってくると、こういうこともあったりします。
将棋界のこのような事情については、賛否両論あるようです。
ややこしいので改善を、という声もあります。
「賛否両論」と書きましたが、
実は、賛成の意見はあまりみかけませんが(^^;)。
個人的には、色々調べたり憶測するのも楽しいので、
こういうのも将棋ファン活動の一環だし、
たまにはいいかもな、とか思っています。
華々しい話題の背後にある「舞台裏」を知ったような気がして、嬉しいです。
今回の報道のされ方からすると、今後は、未公表のテレビ棋戦であっても、
記録がかかった対局については、積極的に早めに発表されていく傾向が強まるのかもしれませんね。
あまり複雑だと、マスメディアなどが、報道に困るでしょうから。
一方、藤井聡太七段の師匠で、2019年2月にテレビ棋戦に勝って八段昇段を決めた、
杉本昌隆先生については、まだその日の対局について(どの棋戦の対局だったか)公表されていないようですね。
昇段を決めたのは銀河戦の対局だったのかNHK杯の予選の対局だったのか。
私はこのことにとても興味があり、以前に考察を行いました。
現在、新年度の銀河戦の放送スケジュール(と対局の収録日)が数回分公表されているのですが、
改めて、その情報も合わせて考察してみました。
その結果、ほぼ、NHK杯予選での昇段だったと思って間違いないと考えています。
(長くなったのでこのことについては、今回はこれ以上書きません。)