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将棋の棋士たちが対局の日に食べる
食事に焦点を当て、将棋と飯を両方描いた漫画「将棋めし」。
作中にでてくるお店は実在します。
閉店してしまう「みろく庵」もその一つで、
将棋めしという作品の「聖地」というべき存在です。
そのみろく庵さんの料理やお店は、
将棋めしの作中でどのように登場し、描かれたでしょうか?
今回は、第一巻に登場するお話から、漫画・将棋めしでのみろく庵の描写をみてみましょう。
みろく庵が初登場した回、「第5食」になります。
以下、もしかしたらストーリーの核心に触れる、
「ネタバレ」になってしまている箇所もあるかもしれません(?)ので、
未読の方は一応ご注意ください(_ _)
目次(もくじ)
どのキャラクターを通して描くのかによって、
同じ食事でも描写のされ方や印象が変わってきますよね。
なので、どの登場人物が「みろく庵」のメニューを
食べたのか、まずはそこからおさえておきましょう!
峠なゆたは、漫画・将棋めしの主人公です。
「将棋めし」単行本の表紙は以前から知っていたのですが、
女流棋士かな、と思ってたら、違いました。
なゆたは、現実の世界にはまだ存在しない、「女性棋士」です!
そうだと知って驚いたのは、きっと私だけではないはず。
なゆたが毎回とても美味そうに飯を食べるので、
読んでいると無性に何か食べたくなってしまったりするかも。
その意味で、漫画「将棋めし」は、取り扱い注意、ですね(笑)。
第一巻のみろく庵の飯が最初に登場する回では、
なゆたは対局は入ってなくて、
「別の用」で将棋会館にきていたとのことでした。
自分以外の棋士の対局を、控室で他の対局の入っていない棋士と検討しにきてたのかもしれませんね。
棋士は自分の対局が入っていなくても将棋を勉強しつづけなければいけませんからね。
七窪奏珠(ななくぼかなみ)は、将棋ファンの高校生。
「七窪」という名前は、やっぱり実在の棋士である、あの窪田七段に由来するのでしょうか?
でも奏珠には、窪田七段的な要素はあまりないような気がしますねー??
将棋は始めたばかりの初心者のようです。
しかし、(将棋の御利益がある)鳩森八幡神社のことや
東京将棋会館の建物に詳しかったり、
将棋アプリで棋士の食事をチェックしたり、
かなりの将棋ファンであることがうかがえます。
何しろ、奏珠は初登場の「第5食」(今回紹介する回です)の際に、
東京将棋会館のある千駄ヶ谷に一人できていますからね。
それも、千駄ヶ谷にくるのはそのときが初めだったという。
でも、そんな奏珠も、将棋会館2階にある道場に行くのは恐かったみたいです(^^;)
確かに、初心者が一人で行く場合だと、
道場に入る勇気って中々もてませんよね。。
売店で将棋グッズを購入したことで気を取り直した奏珠。
棋士と同じものを食べに行こうと思いつきます。
そこでさっそく、将棋の中継アプリで昼食に頼まれたメニューを調べました。
(ちょうど昼食休憩の時間でした。)
アプリをチェック後、奏珠が向かった先が、みろく庵だったのです!
というわけで、「将棋めし」に、みろく庵の飯が初登場した回では、
お店自体が登場しました。出前ではなかったんですね。
ちなみに、みろく庵に向かう途中のコマでは、
将棋会館周辺の地図がでてきます。
将棋会館や千駄ヶ谷駅と、
みろく庵、さらにはその他の勝負飯を提供してくれているお店、
「ほそ島や」や「千寿司」、「ふじもと」、
との位置関係がわかります。
描かれたのは地図だけではありません。
なんと、みろく庵のお店の外観も忠実に再現されています。
看板やその下の瓦屋根(?)。
店名の書かれた提灯と、なぜかその上にある小さな屋根。
その提灯の下のお品書き、などなど。
小さなコマにおさまっているのがもったいないくらいです。
できればもっと大きなカラーイラストでみてみたいですねー。
みろく庵のお店に入った奏珠は、その直後になゆたに出会います。
そのとき、なゆたは猫と話をしていました。
実はこの猫も、実在の人(?)物なのです。
ツイッターで「みろく庵」のことを調べると、
結構な頻度で猫さんの写真がでてきます。
人気者なのかもしれません。
ちゃんと名前もあって、将棋めしの作者の松本渚先生が
以前にツイートされてたと思います。
私もその猫をみたことはあるのですが、
残念ながら遠くからしかみませんでした。
現実の棋士の先生たちも、なゆたのように、みろく庵の看板猫(?)と
仲がいいのでしょうか?気になりますね。
なゆたをみた瞬間、七窪さんの中で何かのスイッチが入ってしまったようです。
ものすごく積極的に話かけていきました。
おかげで相席してもらえることに。
それにしても。
もともと奏珠は、なゆたをきっかけに将棋ファンになったらしいので、
偶然に、棋士の勝負飯のお店で出会えたのは、とてもラッキーですよね。
現実にもこういうことってあるのでしょうか?
棋士に愛された勝負飯のお店であるみろく庵なら、現実にもそういう出会いがあったかもしれませんね。
やはりそういうときは、奏珠のように積極的に話しかけるのがいいのでしょうか。
奏珠は、棋士の昼食と同じものを食べるためにきたのでしたね。
では、その棋士の注文とは何だったか?
藤井聡太四段(当時)の30連勝を防いだときに、
対戦相手の佐々木勇気五段(当時)が注文した、
「肉豆腐定食餅追加」です。
ちなみに、なゆたの方は、注文は肉豆腐定食で、餅は入れませんでした。
「将棋めし」は、将棋漫画でもありますが、同時にグルメ漫画です。
なので、「飯」についての説明が結構詳しいです。
まず肉豆腐定食については、メインの肉豆腐を含む計6品であることがさりげなく説明されます。
肉豆腐の具や味付けについて、読者が食べたくなるような、伝わる描写がなされています。
主役ではない小鉢やみそ汁についても、とても魅力的に描かれていました。
私は、前にお店で定食を頼んだとき、なぜ小鉢とかをもっと味わおうとしなかったのか、と反省しました(^^;)。
将棋もそうですが、細部まで丁寧に味わおうとする姿勢はやはり大切ですね。
将棋めしは、そういうところを学ぶいいきっかけになりそうです。
ツイッターなどで、みろく庵で食べてきた人の報告(?)をみると、
「指し過ぎ」という言葉をよくみかけます。
「トッピングをしようと思ったけど、指し過ぎだと思ったのでやめた」
とか、「トッピング追加したけど指しすぎだった」とか。
ここでいうトッピングは、だいたいは、「唐揚げ追加」か「餅追加」ですね。
「指し過ぎ」というのは将棋用語で、「やり過ぎ」というような意味ですが、
いつしか、将棋だけでなく食事に対しても使われるようになったらしいです。
この「指し過ぎ」という言葉ですが、みろく庵で肉豆腐定食餅入りを頼んだときに、
奏珠が使っています。
かなり最近将棋ファンが使うようになった言葉かと思っていましたが、
なんと、単行本が2017年1月発行の漫画にすでに登場ずみだったとは。
「空前の将棋ブーム」が起こるよりも前の時期です!
奏珠によると、肉豆腐定食餅追加には、指し過ぎな印象もあるのだそうです。
その理由の一つは、肉豆腐とみそ汁が、どちらも汁物なので、ダブっているからのようです。
実際、「肉豆腐定食餅追加みそ汁抜き」という注文をした棋士もいますからね。
でも、存在意義を疑ったみそ汁に対して奏珠は、食事のシーンでは、きっちりフォローを入れています。
食後に奏珠は、肉豆腐に餅を追加することの狙いについて考察します。
それに対してなゆたは、「みそ汁に餅追加した人もいるからどうかな」と疑問を提示します。
ここは、予備知識のない人にはわかりにくいでしょうね。
少し解説(?)をしましょう。
前に別な記事で書いたように、「肉豆腐定食餅追加」が初めて注文されたときは、
餅は、肉豆腐ではなくみそ汁の方に入れられていました。
この注文をした棋士が、三浦弘行九段でした。
その修正案として、現在の形の「肉豆腐定食餅追加」を注文した棋士が、
佐々木勇気七段です。
みそ汁への餅追加によっては、奏珠が考えるような「狙い」は実現しないので、
少なくとも、肉豆腐定食餅追加を最初に考案した人は、奏珠が想像したような意図で
餅を追加したわけではないのではないか、というのが、なゆたの考えなわけですね。
何気ない食後の会話なのですが、まるで将棋みたいに、
水面下ですごい量の「読み」が行われていますね(^^)。
漫画・将棋めしで、みろく庵が登場した回について、
紹介してみました。
お店の外観や猫も描かれ、メニューの細かいところの説明もあり、
コアな将棋ファンや棋士が使うような、将棋用語の日常への応用があったり、
さらには、棋士の注文に対する考察があったり。
これだけでもすごい漫画だといって過言でないと思います。
そして、この回は、「観る将」の方や、将棋に興味があるけれど「趣味は将棋」と自信をもっていえないでいる方に
是非おすすめしたいです。
その理由は、この回には、棋力がなくても将棋を楽しんでほしい、という、作者の松本渚先生の、メッセージが込められていると思うからです。
そのメッセージは、今回は紹介しなかった、なゆたと七窪さんのやりとりの中で、なゆたが七窪さんに伝えています。
なので、是非一度「将棋めし」第一巻を読んでみてください。
峠なゆたという女性棋士に、新入り将棋ファン・七窪奏珠さんと一緒に、背中を押してもらるはずです(^-^)。