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竜王戦では増田六段に止められてしまった藤井聡太七段。
これで年内(2018年)の八段昇段の可能性はなくなりました。
しかし、この敗戦の後も、藤井七段にとって大事な対局がまだまだ続いていきます。
増田戦の次の対局は順位戦です。相手は豊川七段ですね。
順位戦には名人戦の予選という重要な位置づけがあります。
制度上、今年度中に挑戦はできず、一つ一つ昇級していってA級まで上がらなければなりません。
しかし、いや、だからこそ、将来「最年少名人」となることが期待される藤井七段にとっては、順位戦の対局は大切です。
さて、それはともかく、藤井七段は竜王戦の敗戦から立ち直り、連敗を回避できるでしょうか?
今回は、「棋士・藤井聡太の連敗」に関係したテーマで書きます。
いかに藤井七段の連敗が希少であるかがおわかりいただけると思います。
きっと今回のC級1組順位戦の豊川七段との勝負にも勝って、連敗を回避し、名人を目指して進んでいくことでしょう。
目次(もくじ)
せっかくなので、棋士デビュー前、奨励会時代の勝敗もみてみましょう。
三段リーグを一期抜けした藤井七段が在籍したのは、第59回三段リーグです。
トップの成績で四段昇段を決めました。
藤井七段は、もちろん元々圧倒的な才能があったのですが、各棋戦でのめざましい活躍は、プロになってからも急速に力をつけたことによります。
今にしてみれば意外なことに、三段リーグでは藤井七段は5敗しています(18戦13勝5敗)。
そのため、デビューー間もない時期の藤井四段(当時)に対しては、有望視されている先輩若手棋士の方がまだ強いだろう、という見方もあったようです。
それはさておき、藤井三段(当時)は、三段リーグで連敗はしていません。連勝の方は、最大で5連勝しています。
プロデビュー後にこの連勝数が「29」にまで伸びるのだから、やはりすごい勢いで進歩していったのでしょうね。
もちろん、三段リーグの時点ですごすぎるのですが(汗)。
プロデビュー後、藤井四段(当時)は、公式戦だけでなく、非公式戦も戦いました。
その一つが、「炎の7番勝負」ですね。最終局では羽生三冠(当時)に勝ち、棋士や将棋ファンに衝撃を与えました。
連勝数が伸びていたこともあり、そのあたりから「棋士・藤井聡太」は社会的に大きく注目され始めました。
その炎の7番勝負で、藤井四段は1敗しかしていません。つまり、連敗していないわけですね。
藤井七段が増田六段にリベンジを許したのは、第31期竜王戦決勝トーナメントの2回戦でした。
1年前にやはり同じ舞台で、佐々木勇気五段(当時)に負けています。
ちなみに藤井四段(当時)は、1回戦での増田四段(当時)との勝負に勝っての2回戦進出でした。
「増田六段のリベンジ」というのは、そのときの敗戦の雪辱を増田六段が晴らしたことを指します。
増田四段(当時)に勝って29連勝達成となった藤井四段(当時)は、30連勝をかけて佐々木勇気戦に臨みましたが、連勝を止められてしまいました。
竜王戦での佐々木五段(当時)に負けた次の公式戦対局は、順位戦でした。
デビュー後2局目となる順位戦。クラスはC級2組で、新人であった藤井四段(当時)は当然順位が下位でした。
順位が低いので、C級1組昇級を目指すには、1敗すら避けたい、そういう状況でした。
まあ、結局、全勝して成績1位で昇級するのですが。
デビュー後初めて負けた後の対局が、そういう重要な棋戦での対局だったので、プレッシャーのかかる状況だったと思います。
しかも、その将棋は、中田功七段の「コーヤン流三間飛車」にかなり苦しめられているようでした。
しかし、藤井四段(当時)は連敗せずに踏みとどまりました。
「打ち歩詰」の筋で詰みを回避するというプロの技をみせて勝利をつかみました。
結局、佐々木勇気五段(当時)によって一度は土をつけられたものの、その後も、藤井四段(当時)は高勝率を維持しつづけました。
藤井四段(当時)が棋士デビュー後初の連敗を経験したのが、2017年9月2日に行われた井出四段との加古川清流戦でした。
その前の対局は豊島八段との対局で、舞台は棋王戦挑戦者決定トーナメントでした。
豊島八段はA級棋士で、タイトルをもっていないのが不思議といわれるくらい強い棋士です。
それ以前に藤井四段(当時)が負けた棋士に、菅井七段(現王位)がいます。
若手棋士にも強豪が多い上に、勝ち進んだ結果徐々にトップ棋士と指すようになってきた状況で、これまで以上に厳しい戦いを強いられていたと思います。
しかもこの状況はさらに加速していきます。
しかし驚くべきことに、藤井聡太・現七段の公式戦での連敗は、この1回だけのようなのです。
ちなみに、井出戦の後は、森内九段に勝っているので、藤井聡太七段の唯一の連敗は、2連敗です。
さらに付け加えると、この対・森内戦は、生放送で行われたNHK杯の対局で、9月2日の井出戦の次の日の9月3日に行われました。
ハードスケジュールの中、地上波生放送という緊張する状況できっちり勝ちをおさめるところが、大物ですよね。
この時点でまだ中学生だったというだから、末恐ろしいです。。。
さて、今回のテーマは「連敗」ですが、この手の話題は、対局日を公開していないテレビ棋戦があると、話がややこしくなってくることがあります。
実は、このブログでは以前、「連勝」とテレビ棋戦の関係について調べたことがあります。
そのときは、藤井四段(当時)の連勝数の関係で、NHK杯での稲葉八段との対局がいつ行われたのかが気になって考察したのでした。
参考記事: 藤井四段の9連勝が7に減ってた!NHK杯の稲葉戦が原因?
そのとき推定したNHK杯の対・稲葉八段戦の時期が正しければ、藤井四段(当時)は、連敗していないことになります。
ちなみに上記リンク先の藤井四段(当時)の星とり表は、2017年11月までしか結果が載せてありませんが、11月29日の対・大橋戦の敗戦の後の12月7日の順位戦の対局では、藤井四段(当時)は高野四段に勝っています。
こんな感じで、「負けたら直後の対局で勝つ」というパターンを繰り返しているわけですね。
負けてもきっちりと気持ちを立て直しているのでしょう。感想戦の様子からもそのような感じを受けます。
棋士・藤井聡太の高勝率の秘密は、才能だけでなく、そういうメンタル面の強さにあるのかもしれません。
いかがでしたか?
今回は、「連敗」というキーワードを軸に、藤井聡太七段のこれまでの歩みを振り返りました。
2連敗さえも、たったの1度しかないという藤井七段の強さは、まさに神業というしかありませんね。
これだけ強いと、やはりどうしてもタイトル獲得を期待してしまいますね^^