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「詰将棋の世界」の第二回の記事に引き続き、第三回の記事も書いてしまいます!
第二回のサブタイトルは、「詰将棋のルール(1)」でした。
第三回はその続きということで、「詰将棋のルール(2)」という副題がつけられています。
印象としては、第三回にはより専門的な詰将棋用語も登場し、第二回に比べてより本格的になっている感じです^^
目次(もくじ)
第三回の連載においても、まず最初に前回出題された詰将棋問題の解説がなされています。
第二回同様、左ページの約3分の2がこの解説のために割かれていますが、前回よりも少しだけスペースが減っています^^
前回で、「持ち駒余り」などのルールの説明ができたので、その分解説の字数が節約できたのが勝因でしょうね。
そして解説は前とかわらず、丁寧です!
前回問題の解説部分については、このくらいにしておいて、本文の話に移ってしまってもいいのですが、少しだけ気付いたことをメモしておきます^^
今回読んでいて、「詰将棋の世界」の詰将棋問題解説はかなり効率的でもあるように感じました。
通常、詰将棋を解くときには、攻方(詰将棋において王手をかけて王を詰ます方)の手の候補を一つ一つ検討します。
そして、それらの候補手に対する玉方(詰将棋において詰まされる方)の対応を、攻方の候補手一つ一つに対して考えていきます。
「詰将棋の世界」での解説では、それとは少し違ったやり方がなされている印象があります。
どんな考え方が使われているかというと、まず、攻方の候補手のうち、玉方の対応(応手)が同じになるものを、ひとくくりにしてグループ化しています。
考えられる手のうち、この手とこの手は、この応手をされれば詰まなくなるので不正解です、といった感じです。
他の不正解手に対して、同じ応手ならば詰むけれど、今度は別の逃げ方があるので詰みません、といった具合に解説は続いていきます。
最終的に登場する正解の手が、これまでの解説に出てきたどの応手に対しても、詰ますことができるということが十分に納得できるような説明になっていて、見事という印象の名解説です。
さて、「詰将棋の世界」では、第二回連載から、詰将棋のルールの解説が本格的にスタートしています。
第二回は、詰将棋のルールを、詰将棋自体の定義を明確にすることで、説明していました。
定義を論理的に明確に述べているおかげで、ルール自体を正確に理解できる内容でしたが、その分ちょっと抽象的な印象はありました。
例えば、将棋を学び始めると、このブログでも以前登場したような色々面白い用語が出てきたりしますけれど、詰将棋にもそういうのはあります。
第二回「詰将棋の世界」では、詰将棋用語が最小限しかでてきていませんでした。
嬉しいことに、連載第三回では、詰将棋専門の用語が新たにいくつか登場しています!
第三回本文の前半で登場したのは次の用語です。
「変化手順」と「紛れ手順」はそれぞれ、「変化」と「紛れ」という略称もあります。
これらの用語、皆さんはご存じでしたか?
さりげなく詰将棋の解説にでてくる用語ではありますよね。
私はなんとなくは知っていたのですが、はっきりと学んだことはありませんでした(笑)。
ここで全部説明してもいいのですが、できれば「数学セミナー」で読んでほしいので、このうちの2つについて、なんとなく説明するにとどめます。
まず、「本手順」ですが、さきほどまで私が「正解」と呼んでいたものです。
つまり、詰将棋は、「本手順」をあてる問題、であるわけですね!
それに対して「紛れ」というのは、まさに「まぎらわしい手(順)」といってよいでしょう。
通常は、不正解の変化のうち、詰みそうなのに詰まない、つまり「惜しい」手に対して使われるようです。
さて、本手順・変化・紛れですが、よく理解していない私が、これまで普通に詰将棋を解いたり解説を読んだりできていたことから、解く側の立場からすると必ずしも必須な知識ではありません。
とはいえ、知っておいた方が解説を読んで理解する上で便利なのはきっと間違いないと思います。
ともかく、これらの用語は、すでに存在している詰将棋を、解いたり解説したりする上で便利な用語なわけですね。
「詰将棋の世界」第三回連載では、これらの用語の他に、「余詰」という専門用語が登場します。
これは詰将棋の問題をつくる側にとって、作成した問題が詰将棋として成立しているかどうかに関わってくる概念です。
どういう風に関わるかというと、余詰が存在する詰将棋というのは、詰将棋として成立していません。
詰将棋に余詰がある状況というのは、正解手順、つまり「本手順」が二つ以上存在する状況のことです。
前に、詰将棋の「正解」は一つに決まる、ということを書きました。
これは逆にいうと、正解、つまり本手順が複数ある詰将棋というのは、本来の意味の詰将棋ではない、ということになります。
ようするに複数の正解手順というのは、詰将棋において存在してはならないわけです。
でも、将棋の経験のある人なら納得いただけるでしょうけれど、王の詰ましかたが一通りしかない状況というのは、意外と滅多にないのです!
将棋の終盤、後は相手の王を詰ますだけだ、という状況になったときに、途中はミスをしては大変、とかなり緊張しますが、最後の一手まで緊張するでしょうか?
どちらかというと、そうではありませんよね。
最後の一手は、たった一つの正解しかないという状況ではなく、ここまでくればもうあとはどうやっても詰むな、という、安堵感のある場面が多いです。
逆にいうと、そういう、「最後の一手まで正解が一通りしかない局面」というのはきっと、つくるのが難しいのですね。
そこまで制限をきつくしてしまうと、面白い作品がつくれなくなってしまうことでしょう。
「詰将棋の世界」第三回連載の後半で解説されているのは、複数の正解がある状況、専門的にいうと余詰がある状況というのを、すべて排除するのではなく、ある程度は許容しよう、というルールです。
詰将棋を解くときのルールというよりは、詰将棋をつくるときのルールですね。
最後の一手は色々正解があってもOKとする「最終手余詰」のルールの他に、「非限定」という考え方が解説されます。
非限定は例えば、香や飛・角といった「飛び道具」を打つ場所が、最終的に詰むのであればどこであってもOKとするものや、「成り不成非限定」などがあり、これらが解説されています。
詳しい説明や具体的な例などは、是非「数学セミナー」でご覧ください!
いかがでしたか?
今回は数学セミナー誌上連載「詰将棋の世界」の第三回の内容について書いてみました。
詰将棋の用語が登場し、一気に本格的になってきましたね。
しかも、今回までの内容もまだ詰将棋のすべてをカバーできているわけではないみたいで、詰将棋の世界はまだまだ奥が深そうです!
今後ますますおもしろくなってきそうですので、楽しみです。