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藤井聡太七段が、自身最後の参加となる2018年の新人王戦で優勝しました。
ただ、将棋ファン以外の人にとっては、「新人」という響きから、今一つすごさがピンとこない、ということもあるかもしれません。
快挙なのに、周囲の人に中々そのことを伝えきれない、というもどかしさがありませんか?
そこで、今回は、「新人王となった棋士たちの中で、その後タイトルを獲得している人はどのくらいいるのか?」ということを調べてみました!
目次(もくじ)
新人王戦は若手限定の棋戦ですが、10代から20代後半(現在の規定では26歳以下)という、比較的広い年齢層の棋士たちが戦います。
ですので、優勝者は、少なくとも将来、強いベテラン棋士たちが衰えてくる頃には、将棋界でも上位に位置することになる可能性は高いと考えられます。
これはどの時代にも当てはまると思います。
では、具体的には、新人王戦優勝ってどのくらいすごいのでしょうか?
将棋に詳しくない人にも納得いくように説明したいところですね。
将棋好きで知られるタレント、つるの剛士さん(@kakeshi_tsuruno)の下記のツイートを読むと、かなりの興奮が伝わってきます。
藤井聡太七段が最年少新人王に
新人王になった棋士はほぼタイトル獲得しているので、藤井七段初タイトルも近い?!将棋ファンは堪りません!
藤井聡太七段
最年少新人王おめでとうございます
(引用元: https://twitter.com/takeshi_tsuruno/status/1052442449589796864 *引用の際、絵文字などは省略しました。)
これをみせれば、新人王戦優勝がなぜ快挙なのかについて、きっとみんな納得してくれますよ。
ただ、上記ツイートには、1点、とても興味を惹かれる一文が含まれています。
果たして、歴代新人王戦の棋士たちは、本当にタイトル経験者ばかりなのでしょうか?
。。。
。。。
「藤井七段の初タイトルが近い?」の方は今回スルーしました(笑)。
こちらについて、以前の期待よりは遠ざかったとはいえ、それでも十分に現実味がありますので。
このあたりは、我々将棋ファンは完全に感覚がマヒしてきていますね^^
でも、この疑問の答え次第で、つるのさんのツイートの説得力が変わってくるので、きっちりと調べてみたいと思いました。
この機会に、歴代新人王の中に、タイトル獲得者がどのくらいいるのか、について把握してしまいましょう^^
それでは、過去に新人王戦優勝を決めた棋士で、タイトル獲得という将棋界の頂点までのぼりつめた棋士たちをみていきましょう。
将棋界最高タイトルの一つ、名人からみていきましょう!
新人王戦で優勝した棋士で、その後、名人になったのは下記の棋士たちです。
(段位や肩書は2018年現在のもの)
そうそうたる顔ぶれですね!
どの棋士も、名人を2回以上獲得していますし、今でも将棋界のトップで戦っています。
もう一つのビッグタイトル・竜王もみておきましょう!
さきほどと同じ棋士が2名も(笑)。
糸谷八段以外は、竜王も複数回獲得しています。
その糸谷八段も、2018年度はA級棋士になり、王将リーグなどでも活躍している棋士です。
王位もみておきましょう!
ここにもまた羽生先生が!まあ、七冠制覇した棋士なので、当然ですなのが(笑)。
しかも何回も連覇していますので、羽生先生以外の王位経験者の棋士って少ないようです。
その中で、羽生先生から王位奪取した深浦先生から王位を奪取したのが広瀬八段、羽生先生から直接(?)奪取したのが菅井七段です。
上記以外の棋士で、タイトル獲得経験のある元新人王はまだまだいます。
中でも、今でもトップ棋士なのが、三浦弘行九段です。
新人王戦優勝は、1998年。獲得したタイトルは棋聖で、羽生七冠(当時)の一角を崩したことで有名です。
現役棋士で、タイトル獲得と新人王優勝ともに経験のある棋士としては、この他に、下記の棋士がいます。
中村九段は王将を2期獲得しています。塚田九段は王座を1期、田中九段は棋聖を1期獲得しています。
さて、結論を出しましょう。
「歴代新人王の中に、タイトルを獲得した棋士がどのくらいいるのか?」
過去49回の新人王戦の優勝者は、37名います。(49名でないのは、2回以上優勝した棋士がいるためです。)
その中で、タイトルホルダーになった棋士は、14名います。
単純に計算すると、4割弱の割合です。
最近の優勝者についてはまだ今後のことはわからないので含めないことにするとしても、4から5割くらいでしょうか。
。。。
つまり、若手棋戦である新人王戦で優勝したからといって、皆が皆将棋界の頂点にまで行けるとは限らないわけですね(汗)。
ただ、タイトル獲得までいかなくても、タイトル挑戦や棋戦優勝、A級棋士やB級1組棋士になった元新人王棋士はたくさんいます。
「新人王戦優勝者で、将棋界で上位にまでいった割合」ということであれば、相当高いといって過言ではありません。
このように考えると、藤井聡太七段が将来、将棋界のトップ層の中で活躍することはほぼ確実といえそうです!
ですので、是非将棋に詳しくない方たちには、「新人王戦で優勝する棋士は、将来将棋界でトップレベルになる棋士たちばかりで、半分くらいはタイトル獲得しているんだよ」と教えてあげて下さい^^
それから、もう一つ注意というか補足をしておきましょう。
今回、なんとなく、「新人王優勝後の活躍」としてのタイトル獲得をテーマにしてきました。
でも、実はなんと、新人王戦に優勝する前に、タイトルをとった棋士もいるのです。
例えば、三浦九段は、1998年に新人王戦優勝ですが、なんと棋聖獲得は1996年!
当時はタイトル経験者も新人王戦に出ていたのですね。
また、藤井猛九段は、1999年に新人王戦優勝していますが、竜王位を1998年に獲得しています。
もっとも、藤井猛九段の場合は、1996年に最初の新人王戦優勝しています。
なので、タイトル獲得を「新人王優勝後の活躍」とみてもいいかもしれません。
渡辺明棋王は、2004年度に初タイトルの竜王を獲得していて、2005年に千葉五段(当時)と決勝を戦った新人王戦では、(おそらく途中から)現役竜王でした。
今回は、新人王戦優勝とタイトル獲得の関係について調査・考察してみました。
以下のことがわかりました。
つまり、新人王戦優勝棋士がその後将棋界で活躍する可能性は極めて高いと期待できます。
一方、下記のようなこともわかりました。
新人王戦は制度が時代とともに変化していますし、将棋界そのものも時代とともに変わってきています。
ですので、単純計算だけでは議論できない面もあるかと思います。
でもだからこそ、藤井七段を含む、将来の将棋界を担う歴代新人王たちが、今後どのような活躍をしていくのか、楽しみですね!
これからも将棋界を見守っていきましょう^^