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2018年5月18日、船江六段との対局を制した藤井聡太六段が、七段に昇段しました。
この結果によって、竜王戦への関心が以前にも増して集まったと思います。
この記事では、竜王戦の仕組みについてまとめてみたいと思います。
「竜王戦連続昇級の昇級って何?」とか、「竜王戦のランキング戦って?」と思った方の疑問にも答えることができると思いますので、是非お読みください^^
竜王戦7番勝負では、将棋界のビッグタイトルの一つ、「竜王」を懸けた戦いが行われます。
竜王を保持している棋士と、予選を勝ち抜いた挑戦者が争います。
竜王戦の予選は、独特の仕組みで行われています。
理解の鍵となるのは、竜王戦における3つのトーナメントです。
それぞれどういう位置づけになっているのでしょうか?
以下、順番にみていきましょう!
竜王戦において、いわば「本戦」と呼ぶべき位置にあるのが、「決勝トーナメント」です。
竜王戦7番勝負に出場する挑戦者を決定するためのトーナメントになります。
この決勝トーナメントですが、著しい特徴があります。
竜王戦決勝トーナメントの「決勝」は、もちろん、挑戦者決定戦になります。
なんと、竜王戦では、この「挑決」が3番勝負で行われます!
さすがはビッグタイトルの竜王といったところでしょうか。
そして、トーナメントの形が変わっています。
左の方のブロックは、「銀河戦」や、順位戦の「史上最大のプレーオフ」でみたような形をしています。
そう、「パラマス式」ですね。
ランクが低い棋士ほど多くの相手に勝たなければ優勝できない、という方式になっています。
右側のブロックも、やはり部分的にパラマス式になっています。
こちらは棋聖戦などでみおぼえのあるかたちですね。
ともかく、竜王戦の本戦である決勝トーナメントは、パラマス式のトーナメントをつなげたような形になっています。
では、本戦に参加の棋士たちのランクは、どのように決められるのでしょうか?
それを決めるのが、竜王戦の「ランキング戦」です。
竜王戦の決勝トーナメントにでられるのは、もちろんごく一部の棋士たちです。
参加資格を手に入れるために棋士たちは、「ランキング戦」を戦います。
竜王戦ランキング戦は、1組から6組までのクラスにわけられています。
このクラスは、竜王戦独自のものです。
順位戦の「クラス」もそうですが、竜王戦の「組」もある意味、棋士のランクを決めるものと言ってよく、上位の組ほどそうそうたるメンバーがいます。
各組で成績上位になった棋士が、決勝トーナメントに進出できるという仕組みになっています。
そして、上の組から決勝トーナメントに進出した棋士ほど、決勝トーナメントで有利になります。
パラマス式における「ランク」が高いからです。
ランキング戦1組の優勝者は非常に有利です。
なにしろ、本戦での最初の戦いに勝てさえすれば、次の対局が、挑戦者決定戦3番勝負(の第1局)になるためです。
増田康宏五段はこのことを、「スーパーシード」と表現していました。
(2018年5月19日のAbema TVでの名人戦の解説時)
ランキング戦で上位の成績をおさめた棋士は、一つ上の組に昇級します。
すると、たとえ本戦で敗れたとしても、次期竜王戦でまた本戦進出できれば、前よりもより竜王挑戦に近くなります。
ランキング戦で敗退した棋士の中から、残りの昇級枠を決めるのが、竜王戦の昇級者決定戦です。
ただし、決勝で負けた棋士は参加しません。決勝進出の時点で昇級が決定しているからです。
それにしても、「昇級決定戦」って、なんとなく不思議なネーミングですよね。
だって、ランキング戦でも昇級者が決まるので(笑)。
実は、昇級決定戦は、ランキング戦の「3位決定戦」に相当します。
こちらの方がしっくりきますね。
ちなみに、加藤一二三九段の現役最後の対局が昇級決定戦でした。
そのときから私も気にはなっていたのですが、なんとなくしか知りませんでした。
ちなみに藤井聡太七段は、昇級決定戦には出たことがないです。竜王戦ランキング戦で負けたことはまだありませんので。
もし出るとしても、2019年度にあたる第32期以降になりますね。
さて、話を戻します。
竜王戦昇級決定戦のトーナメントも、パラマス式をつなげたような形になっています。
このトーナメントにおける棋士の序列は、ランキング戦トーナメントにおける成績によって決まります。
つまり、ランキング戦で下の方で敗退した棋士ほど昇級決定戦で不利になるわけですね。
各組の昇級決定戦は、2つの独立したブロックで行われ、それぞれの優勝者が昇級します。
これらの優勝者たちは、ランキング戦の同率3位ということになります。
いかがでしたか?
今回は、8大タイトル戦の一つ、竜王戦の予選の仕組みについてでした。
竜王戦の挑戦者を決める決勝トーナメントと、竜王戦独自のランクである「組」という概念をおさえておきたいですね。
順位戦も意外と複雑ですが、竜王戦はそれ以上かもしれませんね(汗)。
今回カバーしきれなかった要素もありますので、またどこかで記事にしたいと思っています。