【当サイトの記事はPRを含む場合があります。】
竜王戦の1組で戦われる、「出場者決定戦」とは何か、まとめます。
文字通り、竜王戦の挑戦者を決める「決勝トーナメント」への進出権をかけた戦いの一つですが、
他の組では「出場者決定戦」はありませんよね。
その理由や、出場者決定戦の別名(?)である、「○位決定戦」という呼び方の意味について説明しています。
2019年5月30日、羽生善治九段は、
故・大山康晴先生の記録を超える、公式戦通算1434勝の達成をかけて、
木村一基九段と対局しました。
結果は羽生九段の負けとなり、大記録更新はおあずけとなりました。
その木村九段との対局の舞台となった棋戦は竜王戦で、
ランキング戦1組所属棋士たちが参戦する、
「出場者決定戦」というものでした。
正確にいうと、その中でも、「3位決定戦」と呼ばれる戦いだったのですが、
よほど将棋に詳しい人でなければ、これらの用語を知らないのが普通ですよね。
当ブログ「将棋ブログ執筆の新定跡を開発する日記」では、
過去に、竜王戦のという棋戦の仕組みについての情報を
まとめてきました。
しかし、出場者決定戦については、あまり大きくはとりあげたことがなかったですね(^^;)。
そこで今回は、そのあたりのことについて、記事にしてみたいと思います!
【竜王戦の仕組みについて】 => 竜王戦の仕組みは?ランキング戦に本戦、昇級者決定戦って?
目次(もくじ)
この記事までたどり着いた方の多くは、竜王戦の仕組みについては、
ある程度ご存じの方が多いのではないかと、勝手に思っています。
竜王戦ランキング戦の下の方の組のことは、藤井聡太七段の活躍で、
この2年ほどの間、注目されてきましたからね。
下位の組のことがわかっていれば、竜王戦の原則的な制度はおさえられているといえるでしょう。
今回の話題は、1組という最上位クラスに特有の仕組みになります。
基本の知識の上に、最高クラス故の特殊事情(?)を理解して、
竜王戦の知識の完成度を高めましょう(^-^)。
原則的なことは他の組と同じ、といいましたが、もう少し具体的に説明をしますね。
まず、タイトル戦としての竜王戦(竜王戦7番諸部)の挑戦者が直接決まるのは、
「竜王戦決勝トーナメント」です。
(「決勝トーナメント」は、「決勝T」と省略したりします。)
ランキング戦の上位の棋士が、決勝トーナメントに進出できるという点は、
2位以下の組と、1位とで違いはありません。
あとは、同じ組の中で、下位の成績の棋士が、一つ下の組に「降級」するのですが、
この点も、他と同じですね(もちろん、一番下の6組は除きます)。
ちなみに、1組は一番上なので、他の組と違って、「昇級」はありません。
竜王戦1組が他のクラスと違う点としてもっとも大きいのは、
決勝トーナメントへ進出できる棋士の人数になります。
3組以下からは、各組から1名ずつ(ランキング戦トーナメント優勝者)が、
2組からは、2名(ランキング戦トーナメント優勝者・準優勝者)が出られます。
一方、1組からは、5名も出場できます。
1位から5位までの棋士たちに、竜王挑戦をかけたトーナメントに進む資格が与えられるのです。
しかも、他の組から進出してきた棋士たちに比べ、1組の棋士たちはシードなど、
決勝Tで有利な傾向があるわけですから、下の組の棋士からすると、1組の壁はかなり厚いでしょうね。
1組から決勝トーナメントに行ける枠のうち、1組1位と1組2位の枠は、
1組のランキング戦の優勝者と準優勝者になります。
残りの3名、1組の3・4・5位を決めるのが、出場者決定戦です。
その出場者決定戦の方式について、説明しましょう。
各組でランキング戦が終わって優勝者と準優勝者が決まることは、
その組の1位と2位が決まることを意味します。
3位以下を決めるために、2組以下で開催されるのが、
「昇級者決定戦」でしたね。
1、2位を除いた残りの棋士たちの中から3位以下を決めるという意味では、出場者決定戦にも同じような役割があります。
昇級者決定戦では、同率3位が2名決められます。
そのためのトーナメントですが、2つの大きなブロックにわけて独立に行われ、各ブロックの優勝者が3位となります。
トーナメント自体は、ランキング戦トーナメントの成績がよかった棋士ほど、シードされるようになっていて、
1回戦負けした棋士にはかなり不利になっています。
では、1組の昇級者決定戦はどうなっているか?
こちらも、ランキング戦トーナメントの成績がいい棋士ほど、決勝T進出しやすくなっています。
ただ、昇級者決定戦とは少し違います。
トーナメントが、2つではなく、3つにわかれています。
それらの3つのトーナメントの呼び名はそれぞれ、
3位決定戦・4位決定戦・5位決定戦です。
まず3位決定戦ですが、これは、ランキング戦でベスト4まで行った棋士のうち、
準決勝で敗退した2名の棋士が出場します。
なので、トーナメントというか、単なる1対1の対局ですね。
勝った方が「1組3位」として竜王戦決勝トーナメントにでます。
では、4位決定戦はどうか?
こちらは、ランキング戦1組のベスト8の棋士のうち、準々決勝に負けた棋士4名が参加します。
4名のトーナメントで優勝したら、「1組4位」になり、決勝T進出です。
5位決定戦については、1回戦を敗退した棋士たち8名で行われます。
(1組には16名の棋士が在籍しています。)
8名のトーナメントを制した棋士が、「1組5位」枠で決勝T出場にでる権利を得るわけですね。
決勝トーナメント進出を決めるために必要な勝ち数としては、
ランキング戦で上位に進んだ棋士ほど少ないので、
その意味では、有利といえます。
しかし、出場決定戦の同じトーナメントに参加する棋士同士は、
対等な扱いとなるので、その意味では、公平(?)という見方もできます。
とりあえず、一番おさえておきたいポイントとしては、
ランキング戦で準決勝敗退した棋士同士は、3位決定戦にまわり、
決勝トーナメント参加の切符をかけての一騎討ちとなる、
という点でしょうか。
話題になった羽生九段-木村九段戦もそうでしたから。
将棋界のビッグタイトルである竜王戦の予選に関連して、
ランキング戦1組に固有の「出場者決定戦」についてまとめました。
1組と2組以下の違いに注目して、出場者決定戦の説明を試みましたが、
何かの参考になれば幸いです(^-^)。