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タイトル戦の番勝負は、プロ将棋界最高の大舞台です。
200名以上の棋士(プラス女流棋士・アマ参加枠での出場者)たちの中から選ばれた挑戦者と、タイトルホルダーという、選ばれたもの同士の戦いが行われます。
そんな頂点を争うタイトル戦の出場者たちですが、タイトル戦での仕事は、対局だけではありません。
将棋ファンなら詳しく知りたくなりますよね。そこでこの記事では、そのあたりのことを簡単にまとめてみます。
結論からいうと、対局の前日には検分に前夜祭。当日(2日目)は決着後の取材などの仕事があります。
以下を読むと、たとえば「検分や前夜祭って何?」とか「ニュースなどに書かれている対局後のコメントってどのタイミングでの発言?」などの疑問が解決すると思います。
目次(もくじ)
タイトル戦の関係者は、前日から会場入りしています。
対局場は通常、観光地の旅館などですが、前日からさっそく対局者たちには大事な仕事が待っています。
検分とは、どういうものでしょうか?
実際に対局が行われる場所を下見すること、と理解しておけばOKだと思います。
検分でやることとしては、おそらく最重要なのが、盤と駒のチェックです。
翌日の対局で使用する盤・駒が問題ないかを確認します。
確認する内容は、きれいかどうかとか、「ひび」や欠けている箇所がないかどうか、とかでしょうね。
駒に関しては、2種類の駒から選ぶようです。
2つとも最上級の駒だと思いますが、駒というのは色や模様、字体などにかなり個性があります。
また、光を反射する駒もあるので、光の加減で文字がみえにくくならないかとか、そのあたりも選択の際の判断材料になります。
検分の様子に関しては、中継等の際に動画が流されることがあります。
以前Abema TVで観たときは、駒を選ぶ場面や、選ばれた駒の写真などが紹介されていた記憶があります。
上記の内容も、そのとき私が学習したことをもとに書きました^^
番勝負の対局は長時間行うので、なるべく棋士たちに負担がかかりにくい条件で行うように配慮されます。
検分では、対局場所の温度や照明など、対局しやすい環境になっているかをチェックするそうです。
ちなみに、「対局室」でなく「対局場所」とわざわざ書いたのは、最近いうとは「能楽堂」などの、舞台みたいなところで対局することもあるからです。
その他、盤や、(記録係たちが使う)テーブルの配置なども確認します。
中継用のカメラの位置とかは検分の段階では確認するのでしょうか?個人的にちょっと興味があります^^
以前にも別な記事で書きましたが、タイトル戦開催には、地域振興という意味もあるようです。
タイトル戦という大きなイベントによって地域を盛り上げることは、開催地や対局場所の旅館などにとって重要であるに違いありません。
そのタイトル戦を盛り上げるために欠かせないのが、前夜祭です。
前夜祭では、タイトル戦の対局者たちがあいさつをします。
翌日の将棋への意気込みを述べます。そこで出てくる棋士の言葉は、一つ一つが注目に値します。
たとえば気負うことなくベストを尽くそうとする姿勢には、一流というのはこういうものか、と感心させられるものがあります。
また、対局者たちは、地元や対局場所への感謝や配慮のある言葉を述べます。
また、前夜祭の場では、スポンサー(主に新聞社)への感謝もやはり大切なようです。
タイトル戦出場回数の多い棋士は、以前に同じ場所で戦ったことについて触れたりします。
災害などがあった地域の場合は、温かい応援の言葉を伝えてくれます。
このように、将棋界のトップにいる棋士たちが、素晴らしい人格をもっていることを知ると、よりいっそう将棋が好きになります^^
前夜祭で、番勝負の出場棋士たちは、花束を受け取ります。
実際、下記サイトをみると、「両対局者への花束贈呈」が、前夜祭のプログラムに含まれていることがわかります。
参考ページ(外部リンク): 知らないあなたは損してる?将棋ファンが前夜祭にハマる理由
また、前夜祭の写真をニュースサイトなどで観ると子どもや女性の方たちが、花束を手に取った棋士たちと一緒に写っています。
我々将棋ファンにとって棋士たちはスターですので、これはうらやましい(笑)。
タイトル戦出場者に花を渡す幸運を手にしているのは、一体どういう人たちなのでしょうか?これについては、今後リサーチを進めていきたいと思います。
前夜祭には、当然将棋関係者も参加します。
主な参加者は、立会人や副立会人、現地解説会の出演者などでしょうか?
さらに、観戦記者の方も参加します。
叡王戦の観戦記をつとめた方が、前夜祭についても書いています。
参考ページ(外部リンク): 第1譜『後悔』 金井恒太六段―高見泰地六段:第3期叡王戦 決勝七番勝負 第2局 観戦エッセイ
番勝負の対局は通常、プロ将棋の対局の中でも持ち時間がかなり長いです。
そのため、終局する頃には、タイトル保持者・挑戦者ともに疲れきっています。
それでもまだ仕事が残っています。
対局が終了すると、対局者の棋士たちは、さっそく感想戦を始めます。
勝負を振り返り、お互いの見解を述べあいます。
そうしてしばらくすると、各新聞社の記者さんやカメラさんがやってきて、終局後の写真をとったり、対局者にインタビューなどをします。
インタビューで質問される内容は主に、将棋の内容や勝敗に対しての感想などです。
こうした取材は、主に勝った方の対局者に対して行われますが、負けた方の棋士にもコメントが求められます。
こういうとき、負けた直後でも淡々と対応する棋士の先生をみていると、とても立派だと感じます。
それと、私などは、将棋を指した直後に、すぐにはその一局の内容を思い出せなかったりするのでプロはすごいと思いますね。
私もすぐに感想を述べられるくらいまでに記憶力を高めたいです^-^
対局後の取材が終わると感想戦の続きが行われます。
取材もそうですが、感想戦の様子の一部は、中継されます。
番勝負以外の対局でも取材や感想戦が放送されることがありますが、大きな違いはありません。
しかし、タイトル戦の場合は、棋界の頂点争いということもあり、緊張感や凄味があります。
タイトル戦における感想戦の特徴は、駒をあまり動かさずに、すごいスピードで検討が進むところでしょうか。
また、終盤の検討が終わったら、最後に序盤・中盤に関して総括の言葉で締めくくられたりします。
最先端の将棋について、結論を出そうとする第一人者としての自負が伝わってくるようです。
タイトル戦の決着局が終局すると、記者会見が行われます。
会見するのは、勝った方、つまり次期のタイトル保持者に決まった棋士です。
対局室から移動し、会見用の場所で行われます。
なお、2018年の名人戦の記者会見は、対局翌日に行われたようです。
参考ページ(外部リンク): 3連覇の佐藤名人「印象強い一局」 一夜明け心境語る
決着局は確か、夜中まで続く激闘でしたからね。(双方ともに1分将棋だったそうです。)
記者会見では、記者さんたちがたくさんの質問をします。
番勝負に勝った心境や、番勝負に向けてどのような準備をしてきたかとか。
着物についても質問があったりしますね。特に色々な着物をもっている棋士(主に佐藤天彦名人)に対しては、定番の質問のようです。
最近では、プロ将棋の世界でもコンピュータ将棋の存在が大きいので、そのあたりの質問もあります。
それから、高見叡王が誕生したときは、師匠との温かい心の絆についての言葉を引き出してくれる質問もありましたね。
今回の内容は、タイトル戦の番勝負の前後における棋士の仕事についてでした。
検分では、対局に使う盤・駒と、環境をチェックします。
前夜祭では、棋士たちが勝負への意気込みや関係者・ファンへの感謝などを述べます。
対局後には、終局直後のコメントや、決着局では記者会見を求められます。
このようにしてみると、タイトル戦の番勝負というのは、長時間の対局に加え、前日や終局後も含めた非常に長い仕事であるといえそうですね。
番勝負一局だけでも、かなりの体力を必要としそうです!
ところで、個人的な疑問ですが(今回はそればっかりですが。。。)、棋士の中には食事に関しても真剣な方もいるようですから、検分も真剣に行うのでしょうか?
でも、検分も前夜祭も、映像でみる分には対局者たちはとてもリラックスしていますね^^