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2018年3月上旬にかけて、女流棋士たちの結婚の報告が続きました。
ご結婚された女流棋士の先生方、おめでとうございます!
今回の投稿では改めて、「女流棋士とは?」について書いてみたいと思います。
ただし、テーマが広くなりすぎるといけないのでここでは、「女流棋士にはどうやってなるのか?」に絞っておきます。
以前にも少し触れたことが確かありましたが、もう少しだけ本格的にまとめてみますね^^
目次(もくじ)
普段将棋ファンにはなじみのある「女流棋士」と、歴史上未だに存在しない「女性棋士」。
混乱を避けるために、まずはこの両者の区別について書きます。
いわゆる将棋のプロ、「棋士」というのは基本的には、奨励会という組織で昇級・昇段を続け、「三段リーグ」を抜けて四段に昇段した人のことです。
ただし、三段リーグと異なる方法で棋士になる特別な規定もあり、例外的にその規定で「棋士」になった人もいます。
一方、「女流棋士」になるためには、奨励会の三段リーグを戦う必要はありません。「なりかた」が違うのです。
また、「女流棋士」が主に戦うのは、「棋士」が普段戦う棋戦とは別の、「女流棋戦」になります。
通常の棋士のことを「男性棋士」と呼びます。
その理由は、これまでに女性で、三段リーグを抜けて棋士になった人は一人もいないからです。
つまり、「女性棋士」は今まで一人もいないのです。
でも当然、女性にも通常の「棋士」を目指す権利はあります。
もし今後、女性が通常の「棋士」になった場合、その女性は史上初の「女性棋士」となります。
里見香奈女流は、惜しくも年齢制限により、三段リーグから「女性棋士」を目指す道は断たれましたが、善戦していました。
別の例外的な規定によって「女性棋士」になる道が残されています。
また、三段リーグには西山三段という女性がいます。
年齢的に里見女流よりも若く、これまでにも善戦しているので、三段リーグを勝ち抜いて棋士になる可能性は十分あります。
もしも彼らが「棋士」になれずとも、彼らが道を開拓してきたおかげで、「女性棋士」が誕生する日は遠くないでしょう。
将棋ブームが起き、将棋に関心のある人が増えてきたことも女性が棋士になることへの理解につながっていくと思いますし。
現在ではすでに無くなったのですが、以前は「女流育成会」という機関が女流棋士の養成機関でした。
この制度では、育成会で優秀な成績をおさめた人が、女流棋士としてデビューしました。
Abemaビデオの「楽屋で一局」という番組では、棋士・女流棋士が質問に答えるコーナーがありました。
(10秒将棋対決の方ではなく、詰将棋早解きの方です。)
プロデビューしたときどんな気持ちでしたか、という質問に答える場面もありました。
中村桃子女流は、育成会からデビューしましたが、残念ながらデビューを決めた日のことはあまりおぼえていないと言っていました(笑)。
他の育成会世代の女流の方たちならどう答えるか興味のあるところですね。
今度は旧制度ではなく、現在の制度をみてみましょう。
女流棋士になるためには、いくつかの異なった道があります。
女流育成会は「発展的に解消」されたのでしたね。
今では「研修会」という機関がその役割を受け継いでいます。
研修会とは、奨励会という、通常のプロ棋士(俗にいう男性棋士)を目指すための機関の下部機関みたいなものでしたね。
育成会解消後はそれに加えて、「女流棋士養成機関」という役割も研修会につけくわえられました。
研修会は、トップのSクラス以下、A1、A2、B1、B2、C1、C2、D1、D2、E1、E2、F1、F2、Gクラスまでの14クラスがあります。
研修会員の棋力は、 アマニ段からアマ五段くらいとされています。
C1クラスは真ん中よりも高いクラスなので、少なくともアマ三段から四段くらいの棋力は必要そうですね。
ひょっとすると、実際はもっと高いかもしれませんが(汗)
ただし、研修会からの女流3級デビューというのは、あくまでも「仮」のプロで、その段階ではまだ正式デビューではありません。
正式な女流プロになるためには、女流3級になった後、女流棋戦で良い成績を上げて女流2級に昇級する必要があります。
年齢についての条件ですが、研修会は、「女流棋士を目指す25歳以下のアマチュアの女性」を対象としています。
ただし、23歳以上だとD1クラスに合格しなければ研修会に入れません。
研修会からなるのが、女流棋士になる一番一般的な方法といえそうです。
しかし、他にも方法が存在しますので、一応みておきましょう。
アマチュア参加枠のある女流棋戦でベスト8に入ることができれば、女流棋士資格を申請することができます。
この方法でも、最初は仮資格である女流3級からのスタートになります。
ただし、資格取得、つまりベスト8進出から2週間以内に申請しなければならないそうです。
申請時点での年齢は27歳未満だそうです。
参加枠を手に入れるだけでも大変だと思いますが、実力次第で道が開けるようになっている、というわけですね。
なお、27未満という条件は、将棋連盟所属の女流棋士になる場合です。
日本女子プロ将棋協会(LPSA)の場合、40歳未満となっています。なお、資格取得から2週間以内、という条件は同じです。
でもこの方法で女流棋士になるためには、相当な棋力が必要です!
女流棋士の中には男性棋士に勝つ人もいますし、ベスト8というのはあまり現実的ではないかもしれません。
自身がアマチュア強豪や元奨励会員である女性に限定される方法といえそうですね。
女流棋士になる方法の3つ目ですが、これははじめから「女流棋士」を目指す人向けではなく、通常の棋士、「女性棋士」を目指す人向けのものといえそうです。
つまり、「女性棋士」を目指し、研修会の先、奨励会にまで進んだ場合も女流棋士になる道が用意されているというわけです。
色々なサイトを調べたところ、奨励会2級まで進めば、女流棋士になることができるそうです。
サイトによっては、奨励会2級になった後、奨励会を退会することで女流棋士になれる、と明記されています。
将棋連盟の公式サイトには奨励会から女流棋士になる道についての情報が見当たらないのですが、前例もあるので、上記の情報は信頼できると思います。
そしてこの場合は、女流2級としてデビューできるので、仮資格ではありません。
女性棋士ではなく「女流棋士を目指す」だけであれば、これが唯一のメリットですね。
デビューまでの難易度としては、研修会から女流3級を目指す方が簡単ですが、その後女流2級に上がる自信がない場合は、奨励会でじっくり力をつけてから女流デビューを目指す、というのもありそうですね。
でも、奨励会を勝ち進むのと女流棋戦で好成績をあげるのとどちらが大変か、おそらく前者だと思います。
という理由で私は、さきほども書いたように「奨励会から女流棋士」というコースは、あくまで「女性棋士」を目指す人向けだと考えていますが、いかがでしょうか?
さて、以下もう少しだけ深堀して書いておきます。
女流棋士になるための条件が、2級になった後に奨励会を退会だとすると、「せっかく奨励会2級まで進んだのに、やめなければならないの?」と思ってしまいますよね。
退会などしないで、通常の棋士を目指しながら女流棋士もやる、ということはできないのでしょうか?
でも、この点はあまり気にしなくてもよさそうです。
女流棋士にならなくても、女流棋戦に参加できるからです。
実際、加藤桃子奨励会初段、西山朋佳奨励会三段は、女流棋士ではありませんが、女流棋戦に登場しています。
どちらも素晴らしい活躍をされていますが、特に加藤桃子初段は、「女王」のタイトルをもっていますので、てっきり私などは女流棋士だとばかり思っていましたが、加藤女王は女流棋士ではありません。
そしてその加藤女王に今度挑戦するのが、西山朋佳三段です。これは注目です!
奨励会員の女流棋戦参加枠については詳しいことはわかりませんが、もし情報が得られたら、また書いてみたいと思います。
余談が多くなりましたが、ここで大切なのは、奨励会から「女性棋士」になることができなくとも、奨励会2級以上まで進んだのであれば、「女流棋士」になる道がある、という点ですね。
また、ないとは思いますが、もしも奨励会2級以上退会で女流棋士になれる規定がなくなってしまったとしても、上述のアマチュア参加枠のある女流棋戦での活躍によって女流棋士になる道はあります。
加藤女王や西山三段が将来、「女性棋士」になれるか、それとも「女流棋士」になるかという点も興味深いので、注目して見守りたいですね。
奨励会経由で女流になる場合の年齢についての条件ですが、奨励会は21歳までの初段にならなければ退会です。
ですので、21歳までには2級になっていなければ、女流棋士になれません。
必要な棋力についてですが、奨励会は一番低い6級の時点でアマ六段とされていますので、この方法で女流棋士になるまでには、アマ六段を超えている必要があります。
いかがでしたか?
今回は、女流棋士になるための条件について書きました。
本題の前に「女性棋士」との違いや、旧制度である育成会から女流棋士デビューについて触れました。
そして、研修会、アマチュア大会、奨励会を経由でデビューする方法についてまとめました。
このうち、3番目の方法に関しては、「女性棋士」を目指す場合に。
奨励会経由の方法については、将棋連盟のサイトには記載がないので少し不安ですね(汗)
奨励会から女流棋士や女性棋士を目指す人は、棋士や将棋連盟あるいはLPSAに問い合わせてください。