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山崎隆之八段が王位戦予選で藤井聡太七段に勝ったことで、森信雄一門の対・藤井聡太の連敗がついに止まりました。
同時に、藤井七段の2度目の公式戦連敗となりました。しかし、その次の対局では終盤見事に逆転勝ちし、3連敗せずに踏みとどまったのはさすがです。
さらに千葉七段にも勝って、藤井七段は叡王戦進出を決めました!
さて、森信雄七段の弟子たちはこれまでに、藤井七段に11連敗していました。
そして、山崎八段の勝利によって、連敗数は12連敗には伸びず、森一門と藤井七段の対戦成績は11勝1敗に。
そこで、改めて、藤井七段と森門下の棋士たちとの戦いの歴史を振りかえってみましょう。
これまでの森先生の弟子との対局の日程や棋戦、対局した棋士の名前を表にまとめてあります。
藤井聡太七段のこれまでの歩みの中でも重要だった対局も含まれます。振りかえってみると当時の感動を思い出すかもしれませんよ。
目次(もくじ)
森信雄七段の弟子はたくさんいることで知られています。
プロ棋士になった弟子は、故・村山九段を含めて11名。
ちなみに森信雄門下には女流棋士もいます。
藤井聡太七段と対戦したことがある棋士は、6名です。
過去の藤井七段と森一門の対局について、以下の表にまとめます。
対局日 | 棋戦 | 名前 | 手番 |
2017/2/23 | NHK杯予選 | 竹内雄悟四段 | 後手 |
2017/4/17 | NHK杯 | 千田翔太六段 | 後手 |
2017/5/18 | 加古川清流戦 | 竹内雄悟四段 | 先手 |
2017/6/2 | 棋王戦予選 | 澤田真吾六段 | 後手 |
2017/6/21 | 王将戦1次 | 澤田真吾六段 | 後手 |
2017/8/22 | 朝日杯1次 | 大石直嗣六段 | 先手 |
2017/8/22 | 朝日杯1次 | 竹内雄悟四段 | 先手 |
2017/9/27 | 棋聖戦1次 | 竹内雄悟四段 | 先手 |
2017/1/14 | 朝日杯本戦 | 澤田真吾六段 | 先手 |
2017/3/22 | 王座戦2次 | 糸谷哲郎八段 | 後手 |
2017/4/24 | 棋王戦予選 | 大石直嗣七段 | 後手 |
2017/9/15 | 王位戦予選 | 山崎隆之八段 | 後手 |
森一門で、一番対戦が多かったのは、竹内雄悟・現五段で、4回です。
澤田真吾六段とも3回戦っています。
そして、森門下と藤井七段とは、比較的コンスタントに対局してきています。
ですので、森一門との戦いの歴史をみることは、藤井七段のこれまでの活躍を思い出すのに有益かもしれませんね^^
もっとも、竜王戦や叡王戦では当たっていませんので、これらの棋戦は別途チェックする必要がありますが。
ちなにみ藤井七段の段位ですが、上の表でいうと、朝日杯の澤田戦までは四段、その後の糸谷戦と大石戦では六段、山崎戦では七段でした。
手番は、森門下側からみたものです。
たとえば、澤田六段との2017年6月の棋王戦予選では、澤田六段が後手、藤井四段(当時)が先手でした。
ちなみに、この将棋は千日手指し直し局で、最初は藤井四段が後手でした。
ちなみに手番についてですが、振り駒による手番に関しては、藤井聡太七段が先手になった回数が6回で、ちょうど半分です。
この条件で藤井七段側が9割の勝率というのは、すごいことですね。
ところで、「炎の7番勝負」のときは、藤井聡太四段(当時)が先手を引く確率が高く、スター性があるという話がありました。
このあたりは、棋士デビュー後はどうだったのでしょうか?調べてみると面白いかもしれませんね^^
対・森信雄七段門下の対局で、藤井七段にとって重要だった対局はどれでしょうか?
後から振り返ると、結果的にその後のドラマチックな展開を生み出した対局がいくつもあったことに気づきます。
NHK杯での千田六段との対局は、大きな意味をもっていたと思います。
まず第一に、棋王戦というタイトル戦で渡辺棋王に挑戦して、敗れたとはいえ素晴らしい対局をみせた千田六段との戦いでした。
炎の7番勝負のような非公式戦だけでなく、公式戦でも実力者相手に勝つことで藤井四段(当時)の強さが際立ちました。
また、藤井聡太四段(当時)としては初の地上波放送の対局でした。
さらには、千田六段に勝ってトーナメントを勝ち進んだことにより、次の対戦相手である永世名人資格者である森内九段との対戦が実現しました。
森内戦は生放送され、反響を呼びました。
藤井七段のもつ、もう誰も更新できないだろうといわれる大記録が、「29連勝」です。
藤井四段(当時)のデビュー20戦目、「29連勝の20勝目」の対局の対戦相手が、澤田六段でした。
また、28戦目も澤田六段が相手となりました。
この20戦目は、かなり藤井四段(当時)が追いつめられていました。
また、28戦目も、藤井聡太四段(当時)が勝ったことで、それまでの最大連勝記録であった「28連勝」とタイで並んだという意味で、歴史的な対局でした。
その次の竜王戦本戦・増田四段(当時)との対局で藤井四段(当時)は連勝記録を更新したのですが、その対局は大きく社会の関心を集めました。
藤井七段自身にとっても、この竜王戦の増田戦は印象的な対局だったようです。
そして、1年後に再び竜王戦で藤井-増田が実現するなど、さらなるドラマティックな展開が待っていました。
このようなドラマが生まれた背後に、森門下の澤田六段との対局があったという見方もできると思います。
藤井聡太七段のこれまでの活躍の中でも強烈な印象を残したものの一つが、中学生での朝日杯優勝です。
朝日杯でも、森信雄七段門下の棋士たちが藤井七段と戦いました。
1次予選で藤井四段(当時)は、大石六段(当時)、竹内四段(当時)を破りました。
この大石戦と竹内戦は同じ日に連続して指されました。
藤井四段はその後、屋敷九段・松尾八段らトップ棋士たちに勝って2次予選も突破し、本戦進出を決めます。
そして本戦では、1日に連続して澤田六段・佐藤名人を破って準決勝進出、さらに別の日にまたしても1日に連続して羽生竜王と広瀬八段に勝ち優勝を決めました。
朝日杯本戦の藤井四段(当時)との対局では、澤田六段の方に見落としがあって短手数で決着がついたのですが、そのときに出たのが、角換わりでの先手48金・29飛の形に対して、48の金を一つ前に誘導して後手38角と打つ筋でした。
ちなみに、後の竜王戦ランキング戦決勝の、藤井-石田戦でも、石田直裕五段が同様の筋を出したのですが、そのときは藤井六段(当時)がわをかけていい手を用意していて、石田五段の手が悪手になってしまいました。これは観ているものに衝撃を与えたみたいです。
さらに、類似した筋は、Abema TVトーナメント決勝の、佐々木勇気六段-藤井聡太七段との対局(1局目)でも出ました。
このときは、一見佐々木六段の攻めが決まったかにみえましたが、藤井七段が渡辺棋王も関心する受けをみせました。
個人的には、一つの狙い筋にも、決定打になるときと、そうでもないときがあることがあるという奥深い事実を藤井七段のおかげで学べたのですが、それも澤田六段との対局のおかげでこの筋が強く印象に残っていたおかげであると感じています。
朝日杯の藤井-澤田戦のおかげで、その後の藤井七段の将棋をさらにドラマティックなものに感じることができているような気がして、鳥肌が立ちます。
現在、斎藤七段と中村王座の王座戦5番勝負が行われていますが、その斎藤七段は、藤井七段に準決勝で勝ち、さらにその後渡辺棋王にかって王座戦挑戦者になったのでした。
つまり、王座戦挑戦者決定トーナメントで藤井七段は、あと2勝タイトル挑戦というところまで来ていました。
藤井七段は、屋敷九段から2勝目をあげ、さらに深浦九段へのリベンジを果たしての準決勝進出でした。
その藤井七段の王座戦本戦での活躍の背景にも、森一門との対局がありました。
藤井七段は、王座戦2次予選の第5ブロックで優勝して王座戦挑戦者決定トーナメントに進出したのですが、その2次予選の決勝の相手が糸谷哲郎八段だったのです。
順位戦B級1組で首位の成績をとり、A級への昇級を決めた元竜王相手に、藤井六段(当時)は、持ち前の終盤力を発揮して、解説者にとっても難解な局面から勝ち切りました。
この出来事には、単に挑戦者決定トーナメント進出というだけでなく、藤井六段(当時)が近いうちにタイトルを可能性が現実味を帯びてきた、というような意味もあったと思います。
いかがでしたか?
今回は、森信雄七段の弟子たちと藤井聡太七段との公式戦12戦について情報をまとめました。
また、その12戦の一部について、藤井七段の軌跡の中で重要だったと思われる対局がそれだったかについても書きました。
今後も森一門と藤井七段は、よきライバル同士として戦っていくことでしょう。
きっとまた劇的な展開が生じることになると思いますので、注目していきたいですね。
森門下vs藤井七段の今度の舞台は、どの他の棋戦になるか?楽しみにしておきたいところです。
森一門で叡王戦にまだ勝ち残っている棋士もいるようですので、もしかしたら叡王戦が舞台になるかもしれませんね。