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A級順位戦が将棋界のトップが集まるクラスであることは、すでにかなり知られていると思います。
藤井六段の公式戦でA級棋士が対戦相手になったことや、AbemaTVの「魂の7番勝負」などをきっかけにニュースサイトなどで説明があったからです。
ここでは、A級の一つ下のB級1組についての話を書きます。
目次(もくじ)
この組も、A級に劣らないほどの一流棋士たちが集まっています。
他の棋戦でも上位陣として善戦しているようなトッププロのいるリーグです。
昔から「鬼のすみか」という異名で知られるB1は、現在でもその呼び方に相応しい、恐ろしい猛者が集っています。
そんなB級1組の一番の特徴は、総当たりであることです。
B級2組以下では同じ組にいる全員と戦うことはありません。
一方、B級1組とA級は、総当たりで、同じクラスの自分以外の棋士全員と戦います。
B1の場合、通常は13名のクラスなので、年間12局戦います。
毎年2名がA級への昇級、2名がB級2組への降級により、B級1組を去ります。
その代わりに、A級からの降級者2名とB級2組からの昇級者が新たに参戦するため、B1は毎年13名と人数が一定です。
B1より上の名人とA級は通常11名。
一方、B級1組は13名。いわば、トップ棋士に匹敵する、将棋界で12番目から24番目までのプロが在籍するのがこの組です。
そのクオリティを維持するために、人数を一定にするために、「降級点」ではなく、下位の成績をとったら即降級、という厳しい制度がとられているのです。
この厳しいクラスで戦っている棋士たちは、まさに「勝負の鬼」といえるわけですね。
ただし、第76期は特殊で、第75期のA級からの降級は例年なら2名のところ、1名でした。
しかもその1名である森内九段が、フリークラス宣言したため、第76期のB1には不参加となりました。
結果、第76期のB1クラスは11名の戦いとなりました。
そして、第76期はB1からの降級者が1名のみで、A級からの降級者は3名でした。
昇級に関しては例年と同じなので、この場合、B1の人数は2名増えることになります。
ですので、第77期からはまたいつも通りの13名での戦いになります。
将棋界では、弟子が師匠に勝つことを、「恩返し」と呼びます。
恩返しをするためには当然、まず、師弟対決が実現しないといけません。
順位戦以外の棋戦では、トーナメントを組む時に、1回戦から同門の棋士同士を当てないようにしているそうです。
同門というのは、師弟とか、師匠が同じ棋士同士のことです。
ちなみに他にも、同門の棋士の対局の記録係をしない、というような原則があるそうです。
でも、弟子・師匠ともにトーナメントを勝ち進めば、師弟対決が実現するチャンスがあります。
一方、他の棋戦に比べると、順位戦での師弟対決の実現はかなり難しいです。
順位戦での師弟対決に関しては、「将棋情報局」さんがまとめてくれています。
参考サイト(外部リンク): 師弟戦にまつわるエトセトラ ~ 3/8 杉本昌隆七段―藤井聡太六段 注目の一戦を前に
故・大山康晴先生や、杉本昌隆先生の師匠の故・板谷進先生のお名前も出てきますよ^^
これによると、順位戦の師弟対決は実際、かなりレアなようです。
何故順位戦での師弟対決が難しいのかというと、B級2組以下のクラスでは、総当たりでないからです。
そして、対戦カードを決めるときに、同門同士の対局は避けるように組まれるからです。
他のトーナメント形式の棋戦であれば、勝ち進めばチャンスがあったのに対して、B級2組以下の順位戦ではそうはいかないのですね。
順位戦での師弟対決が実現するための条件、それは同じ年度に、師匠と弟子が同じクラス、ただしB級1組以上に属していることです。
この、ただしB1以上、というのがとんでもなくハードな条件なわけですね。
なにしろB1以上というのは、将棋界でも最高クラスの棋士のいるところですので。
師匠と弟子の両方がトップレベルの実力を発揮し続けなければ、チャンスが中々巡ってきません。
その意味で、第77期B1で実現する斎藤-畠山の師弟対決は、とても貴重な師弟対決といって過言でないので、注目しておきたいですね。
いかがでしたか?
今回は順位戦のB級1組の制度について書きました。
総当たりであるゆえの特徴として、対戦成績が下位の棋士は即降級であるという厳しさがあるという点と、同門同士の対局、特に師弟対決が可能であるという点があります。
まずは斎藤-畠山の師弟対決に注目ですね。
さらに夢を語るならば、将来は、高野四段や佐々木大地四段などにも頑張ってもらって、いつか順位戦の場で「恩返し」に挑戦してほしいと期待してしまいますね^^