【みろく庵】棋士たちの勝負めし新手や研究【裏メニューやトッピング】

将棋棋士たちの対局を支えてきた、
東京千駄ヶ谷の飲食店「みろく庵」さん。
2019年3月31までで閉店することが決まっていて、
36年間の営業が終了するまで残り1週間。
(これは3月24日に執筆しています。)

 

今回は、「みろく庵」の食事メニューに

関して、棋士たちが開拓してきた「新手」や

棋士たちの「研究」などについて、

簡単にまとめておきたいと思います。

 

それから、みろく庵には、他ではみられないような
独特の食事メニューが存在するので、
そのメニューについてもあわせて書きます。

 

>>こちらの記事もおすすめです

まるで鍋料理!?冬に食べたい「みろく庵」のメニュー5選【将棋めし】

 

 

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棋士と対局中の食事・勝負めし

 

その前に、棋士の勝負めし(将棋めし)や、

みろく庵に詳しくない方向けの

イントロダクションをしておきます。

 

詳しい方はここは飛ばしてOKです(_ _)。

 

 

将棋の対局は、とても消耗する戦いであり、

食事は、勝負中の棋士たちにとって

大きな意味をもつようです。

大切な勝負めしを出前で将棋会館(棋士たちの戦いの場)

まで届けてくれるお店の一つが、みろく庵です。

 

勝負めしは棋士の工夫で進化する

 

棋士の支えとなる存在である、勝負めしですが、

棋士たち自身が注文のしかたを工夫すること

によって、勝負めし自身も進化してきました。

 

 

工夫された新しい注文の仕方を、

「新手」と呼んでいます。

本来は、将棋の新しい手のことですが、

新しい食事の注文のことも「新手」と呼ばれてます、

 

また、色々な注文を試しながら

よりよい勝負めしの注文のしかたを

探すことを、「研究」と表現したりします。

 

藤井フィーバー以前からファンは注目してた

 

空前の将棋ブーム「藤井フィーバー」を

きっかけにして、一気に有名になったみろく庵。

しかし、テレビやニュースサイトなどで

断片的に入ってくる情報でしかご存じないとしたら、

結構もったいないです。

 

その理由は、冒頭でも書いたことに関係があります。

 

 

みろく庵のメニューには

とてもユニークなものもあり、

さらに棋士たちが独自の注文のしかたを

工夫することにより、他のお店にない、

みろく庵ならではの「将棋めし」が

誕生してきました。

 

 

そして、棋士たちが対局の日に食べる食事は、

将棋ブームが始まるよりも以前から

将棋の中継などを観るファンの間で大いに注目されていたのです。

 

このことは、漫画「将棋めし」を読むと

わかります。

というのは、将棋めしの連載は、wikipediaによれば、

「コミックフラッパー」の2016年8月号から開始しています。

藤井聡太七段のデビューより前なのです。

 

 

要は、棋士たちの食事に興味がもたれているのは、

メディアが報道するからとか、

藤井聡太七段の活躍が素晴らしいからとか、

そういうったこととは独立に、

「将棋めし」そのものがそれだけ

人々の心を惹きつけるものだから、なのです!

 

それだけ価値のあるものなんだということを、

知っておいてほしい思っています。

 

みろく庵注文の新手や研究

 

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それではいよいよ、みろく庵に注文する際に

棋士たちが行ってきた工夫などをみていきましょう。

 

唐揚定食プラス唐揚げ3個(丸山定食)

 

みろく庵には、唐揚(からあげ)定食があります。

正式には、若鶏唐揚定食(わかどりからあげていしょく)です。

 

 

骨付きのとりのからあげが3個ついた定食です。

前にも書いた気がしますが、このからあげは、

骨を手で掴んで食べるものらしいです。

藤井聡太四段(当時)が注文したこともあり、

確かそのときは、藤森哲也五段か誰かが解説者で、

手で掴んで食べるんです、と説明されてました。

実際、お店で注文すると、食事と一緒に

ティッシュのボックスも運ばれてきます。

 

 

この定食に、さらにからあげ3個を追加で

頼んだのが、丸山忠久九段だそうです。

この頼み方は有名で、「丸山定跡」とか、

「丸山定食」という呼び方がされています。

【関連記事】 叡王戦・高見-丸山戦は好調同士の勝負!夕食は丸山定跡に期待?

SNSでみた感じだと確か、お店でも

この呼び方は通用するのだったと思います。

ただそうだとしても、あくまで若鶏唐揚定食のことを指す、という感じだったはず。

なので、からあげ3個追加したい場合は、そのことも伝える必要があると思います。

本当に追加する人ってわりと珍しいでしょうからね(笑)。

 

肉豆腐定食餅入り

 

肉豆腐定食というメニューに、

トッピングで餅(もち)を追加する新手。

 

 

そもそもの始まりは、三浦弘行九段が、

肉豆腐定食のみそ汁に餅を入れたことだそうです。

 

さすがにそれはないだろう、と、

感じた人々が多数だったみたい(?)です。

 

 

一方、みろく庵の「肉豆腐」は、鍋にスープと一緒に入っています。

この肉豆腐の方に、餅を入れるという食べ方を、佐々木勇気五段(当時)が

始めたそうです。

 

【参考ページ(外部リンク)】 「 肉豆腐に餅」の新手

上記記事は、松本記者によるものです。みろく庵閉店の報を受けて、迅速に取材をして詳しい説明を公表された方ですね。

 

この修正案はどうやら評判がよく、

佐々木勇気先生自身何度もやっているようです。

藤井四段(当時)の30連勝を阻止した対局でもやってました。

だから、「藤井フィーバー」のことから将棋ファンになった人にも、

肉豆腐定食餅追加といえば、佐々木勇気先生の注文のしかただ、

と認知されていると思います。

 

他の棋士もやっている例としては、

たとえば、渡辺明・現ニ冠は、肉豆腐定食餅入り(みそ汁抜き)という

注文をしています(第75期A級順位戦最終局)。

 

 

この、「肉豆腐定食餅入り」を、佐々木定食というのかどうか?

そういう話もあった気がしていたのですが、

今、Twitterで調べても突き止めることができませんでした。

 

一方、「三浦新手」という表現は今でも見かけます。

この言葉が、みそ汁に餅をトッピングすることを指すのか、

それとも、後の佐々木勇気五段(当時)による修正案を指すのか、

わかりません。

どちらであるにしても、常識を超えるような発想を最初にした、

三浦九段への敬意が、この「三浦新手」という言葉には

こめられているのだと思います。

やはり、創造的であることは、偉大なことですね。

 

冷やし中華餅追加【ただし「みろく庵」ではない】

 

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さらに変わった「餅追加」をした棋士もいます。

 

 

佐藤康光九段は、冷やし中華に餅をトッピングしたことがあります。

 

さすがは佐藤九段、天衣無縫ですね、といいたいところですが。。。

 

 

実は、肉豆腐定食餅追加と勘違いしてやったみたいなのです。

噂に聞いたので真似しようとしたら、

思わぬ「鬼手」になってしまい、

「ニ度とやらない」と後悔することになった模様です。

 

【参考ページ(外部リンク)】 「冷やし中華にもち追加」「おやつにブドウ糖」 シュールな「将棋めし」文化についてプロ棋士に聞いてみた

 

将棋では他人の真似を嫌う佐藤九段ですが、

食事では、他人の「新手」を試そうとすることもあるのですね。

それも、うろおぼえで。将棋では「緻密流」の異名をとるのに。
将棋と食事とでは、「棋風」が変わるのかもしれませんね。

しかも、結果的に誰もみたこともない「手」をやってしまったという(笑)。

ここでいう「鬼手」というのは、すごく奇妙な手、というようなニュアンスでしょうか?

 

ちなみに、佐々木勇気七段は、佐藤康光九段の、

「流行に流されない将棋」が好きだそうです。

 

【参考ページ(外部リンク)】 自分の感覚を信じて。がむしゃらに将棋を。 棋士・佐々木勇気 23歳。

 

上記記事には、餅が佐々木の大好物であることも書かれています。

 

ただし、ツイッターで念のために調べた感じだと、
佐藤康光九段のこの注文は、「みろく庵」ではなく、
「ほそじま屋」への注文だったようです。
ほそじま屋さんも、みろく庵さんと同じおそば屋さんで、
東京将棋会館での棋士の対局の際に出前をしてくれるお店です。

 

 

ミックス雑炊納豆追加

 

もっとも新しい「新手」は、おそらく、

ミックス雑炊に納豆追加、という注文だと思います。

 

 

佐々木勇気七段の盟友である永瀬拓矢七段によるものです。

8大タイトルの一つである叡王への挑戦を決めた若手強豪棋士ですね。

最近だと例えば、大晦日9番勝負という企画で、

糸谷哲郎八段を圧倒したことで強烈なインパクトを残しました。

 

 

この注文が印象的なのは、雑炊に納豆、

という組み合わせのせいではないようです。

実際に、納豆が入った雑炊というメニュー自体は、

すでに存在するのです。

 

みろく庵の雑炊は、次の通りです。

 

  • 玉子雑炊
  • 梅雑炊
  • 納豆雑炊
  • 鮭雑炊
  • ミックス雑炊

 

「納豆雑炊」というのが、あるんですね(笑)。

 

ただ、「ニコ生」さんがツイッターでシェアしている画像などをみると、

ミックス雑炊は、しらすとかが入っていて、結構具が豪華そうです。

 

だから、それに納豆を加えることで、健康的かつスタミナがつく

メニューを実現しようとしたのかもしれませんね。

積極的に挑戦し、対局時の食事の新境地を開拓する、永瀬七段には今後も期待ですね!

 

冷やしトマト

 

これまでに挙げてきた将棋めしの「新手」とか「新定跡」は、

既存の定食などに、既存のトッピングを追加する、という

いわば、「組み合わせの妙」というべきものでした。

 

 

しかし、どうやら、これまでになかったメニューを

リクエストによって実現させた例もあるようです。

 

 

それが、「ひふみん」こと加藤一二三九段が、

みろく庵にお願いしてできた、「冷やしトマト」です。

トマトがお好きなんですね。

よく色々なところでおっしゃっている気がします。

 

 

【参考ページ(外部リンク)】 棋士御用達「みろく庵」閉店に加藤一二三もショック 「トマト大好きひふみんのためメニューに…」

 

当時はメニューになかったとのことですので、

「冷やしトマト」は、加藤先生が生んだ「新メニュー」

ということになりますね。

 

さすが我らが加藤一二三九段!

無から有をつくりだす創造性、次元が違いますね(^^)。

 

藤井四段(当時)のみそ煮込みうどん注文

 

すでに書いた通り、

藤井聡太七段が、中学生だった四段時代、

特にデビュー後29連勝前後の時期に、

みろく庵の出前を注文したことで、

みろく庵が有名になったきっかけでした。

 

加藤一二三九段との、記念すべきデビュー戦でも、

昼食時にみろく庵に注文していました。

 

長考(?)の末に、みそ煮込みうどんを頼んだそうです。

【参考ページ(外部リンク)】 将棋62歳差の対決、最年少プロ・藤井聡太四段が加藤一二三・九段を破る

 

上記記事には、デビュー戦でみそ煮込みうどんを選んだ

理由についても触れられています。

 

自身の地元・名古屋の名物であるみそ煮込みうどん。

東京と地元では、味がどう違うのか気になって注文したとのことです。

 

これも、ある種の「研究」といっていいでしょうか(笑)。

そうかどうかはともかく、

他のもっと無難な選択もあり得たところで、

興味あるメニューに思い切って手をだしてみたところが、

棋士らしい勝負の一手だったといえるかもしれません。

 

高見叡王による「じょい豆腐定食」注文

 

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みろく庵には、「じょい豆腐定食」という珍しいメニューがあります。

もともとメニューになかったいわば「裏メニュー」らしいのですが、

高見泰地・現叡王が注文し始め、出前されるようにもなりました。

 

藤井聡太七段も、三枚堂達也六段との第76期C級2組順位戦最終局で、

じょい豆腐定食を注文しています。

 

 

今日の藤井六段の昼食注文の「じょい豆腐」は豆腐×あんかけ×とろろのみろく庵のメニューです。たしか連盟の注文表には掲載されていないはずですが、最近高見六段が注文して注目されためしです。じょい豆腐の「じょい」は「自然薯(じねんじょ)」の略(?)で、とろろの事です #将棋めし

 

上記に引用したのは、漫画「将棋めし」の作者の松本渚先生のツイートです。

 

この「じょい豆腐」ですが、先ほど肉豆腐定食のところで引用した、

松本記者の文章にも登場します。

定食ではなく、一品料理のメニューの中で発見し、

「珍しいな」と感じたそうです。

「じょい」は山芋のことらしい、と書かれています。

 

この文章は、おそらく、高見叡王が定食として注文するようになる前のものだと思います。

将棋関係者と「じょい豆腐」が関わり始めたのは、

もしかしたらそのあたりからだったのかも?

 

 

それにしても、裏メニューだったじょい豆腐定食が、

棋士たちの出前で注文されるようになったというのは、

とても尊いことのように感じます。

 

高見泰地叡王と女将さんはとても仲がいいらしいのですが、
裏メニューを出前できるようになったのは、
やはり、高見叡王の人間力によるところが大きいのでしょうね。

 

ますます、みろく庵が終わってしまうのが、

とても名残惜しいことだと感じられてきます。

 

まとめ

 

>>こちらの記事もおすすめです

千駄ヶ谷の鳩森八幡神社の御利益は将棋?!初詣をかねて祈願祭見学も吉

 

対局中の食事をみろく庵に注文する際の、

棋士たちの様々な工夫や研究、

棋士が関わった新メニューなどについて

調べてまとめてみました。

 

 

新しい食事の開拓のやり方にも、

棋士それぞれの「棋風」が表れているように

感じられ、とても興味深い「将棋めし研究」が、

今回はできました。

 

 

もしも閉店までに、食べに行く予定がある方は、

是非この素晴らしいお店のことを思い出に残してください(^-^)

 

 

 

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